監査権限と所得向上明確な説明なし 西川農相2015年1月20日
西川農相は1月16日の会見で全中の監査権限の廃止が農業の成長産業化や農家所得の向上になぜつながるのかとの声が地方から挙がっていることに対して、「反論し合ったってしょうがない」、「前向きでお互いの提言をしながらやっていければ」と話し両者の関連について明確な考えを示さなかった。
西川農相は農水省とJAグループの間には「共通の認識」があるとして「お互いに農家の所得向上、そのときに農協の経営の自由度を高めること。農業を成長産業にしていきたいのが大目標で、これも農協側も同じだと思う」と述べた。
そのうえで法改正の議論では全中の監査権限が問題になるが「私どもとしては、監査法人が望ましい形だと伝えてある。今のかたちのままでもできるというのが農協側、一方、私どもは経営の自由度を高めてもらう、しかし中身はしっかり見させてもらう、それには監査法人だということもしっかり伝わっている」と改めて、公認会計士監査に移行させる方針を示し「農業所得を上げていく、農協を強くする、ここは共通の認識だと思う」と述べた。
ただ、萬歳章・JA全中会長は15日の記者会見のなかでこうした考えについて「唐突な提案」で理解できないと話したほか、地方の現場からも、なぜ全中監査を廃止することが農家所得の向上につながるのか、との声が挙がっていると強調した。
こうした指摘が出ていることについて問われた西川農相は「これは反論させたらいくらでもある。そういう反論し合ったってしようがない。農家の所得を上げるために全中としてはどういう考え方を持っているかを示してもらうほうが先だ」と質問には直接答えなかった。そのうえで「反論し合うより前向きで、お互いに提言をしながらやっていければと、こう考えています」と話した。ただ、現場の声は“反論”ではなく「きちんとした説明を」という気持ちだ。今後の議論で引き続き問われることは間違いない。
(関連記事)
・財界のための農協監査(2015.01.19)
・全中監査は最も有効 萬歳・JA全中会長(2015.01.16)
・協同組合国家への展望(2015.01.13)
・農協の監査、選択制検討を示唆 西川農相(2015.01.07)
・【農業・農協改革、その狙いと背景】設立過程から見た中央会と農協「改革」 北出俊昭・明治大学元教授(2014.12.12)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日