【TPP】農協研究会がTPPで討論2015年11月30日
農業協同組合研究会(会長:梶井功東京農工大名誉教授)は11月28日、東京都内で第23回研究会「TPP合意に対する不安と不信を問う」を開いた。TPP合意内容は重要5品目でも3割が関税撤廃されるなど、農林水産物全体で81%の品目が関税撤廃されることになり、国内農林水産業に大きな影響を及ぼすことは必至で農業者は強い不安と国会決議にも反しているのではないかとの不信を募らせている。こうしたなか研究会では自民、民主の農林幹部議員を招いて議論した。
自民党からは農林水産戦略調査会会長代理の宮腰光寛衆議院議員が「TPP合意と国内対策について」と題して説明した。
宮腰氏は「日本の農林水産業は19%も関税を残すことができた。長期削減もセーフガードを措置。重要品目のコアな部分で撤廃はない」と強調した。TPP対策については牛・豚のマルキンを法制化するなど「法律に裏づけられた安定的な仕組みにする必要がある」と話し、対策財源については「政府全体で責任を持って毎年の予算を確保する」と大綱に明記したことを強調、体質強化を進めて「経営安定対策の世話にならなくてもやっていける姿にしていきたい」などと話した。経営安定のために、輸出による市場拡大が価格安定につながることなどに注目していくべきとも述べた。
会場からはTPPの影響について中国、韓国、フィリピンなどが参加意向を示していることから「12か国という枠組みで評価していたのでは不十分ではないか」との意見や「情報公開と国民的議論も国会決議事項だった」と指摘があった。
宮腰氏は新規加盟国については12か国の同意が必要であることや、加盟を望む国が協定内容に合意する必要があるとして「たとえば、中国に対してコメを外枠で入れるようなことにならない。重要5品目については影響がない」などと述べた。ただ、国民に対する情報提供については保秘義務があったことから「難しかった」と話した。
民主党は経済連携調査会筆頭副会長の篠原孝衆議院議員が出席した。
篠原氏は「TPP合意は日本のかたちを壊す」と題して話した。TPPは米国の制度を他国に押しつける長期的な戦略のもとにあるもので、金融や製薬企業など今の米国の有望な産業の利益追求にあることなどを指摘した。とくに国民皆保険制度そのものは今回の合意が影響することはないにしても、医薬支出が多い日本への輸出、進出が長期的は国民の負担を増やすことになりかねない構造にあることを指摘した。
ただ、米国では今回の合意に製薬企業から不満もあり再交渉の必要性を示唆する議員もいる。篠原氏は米国では条約の批准は党議拘束をかけず議員個人で賛否を判断するとして日本もこれを見習うべきことを強調した。また、前倒しでTPP対策を決め、TPPはもう終わったという流れをつくる政府与党を批判した。
(写真)会場からの質問に答える宮腰会長代理(右)と篠原筆頭副会長
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