【TPP】米国議会の審議は不透明2015年11月27日
TPP協定は現在実施されている法的審査などを経て内容を確定させた後、政府間の「署名」が行われ、その後、各国で条約を承認する「国会批准」を経て「発効」という流れとなる。ただ、米国での議会審議がどう実施されるか、不透明な状況だ。
TPP協定参加国のなかには国会承認を必要としない国もあるとされるが、その場合でも国内法の改正等が必要となるため、11月25日の記者会見で甘利TPP担当相は「発効までに2年近くかかるのではないか」との見方を示した。
米国ではオバマ大統領が11月5日に議会に対して署名の意図を通知した。米国のルール(TPA法)では署名までに90日間を必要とすることから、署名時期は早くとも来年2月3日以降となる。
オバマ大統領は現行の協定内容のまま、早期に議会手続きを進めたいとしている。しかし、来年秋の大統領選挙・上下両院選挙を控えて議会幹部は現時点で、賛否を保留するか、否定的な立場を取っている。東京大学の鈴木宣弘教授によると、通商政策を統括する上院財務委員会のハッチ委員長(共和党)はTPP合意について「嘆かわしいほど不十分だ」としてこのままでは議会承認が難しいなどとして再交渉の必要性も示唆しているという。日本政府は再交渉には応じない方針であることを米国政府に表明している。ハッチ委員長は巨大製薬企業の意向を強く受けているとされ、TPP大筋合意での薬の特許期間や、投資家が国家に賠償を請求するISD条項から、健康に関わるタバコ規制は提訴の除外対象とすることなどを問題視しているという。
そのほか民主党の次期大統領候補のヒラリークリントンをはじめ民主党には反対も多い。
こうしたことからオバマ政権の思惑通り来春に審議が行われるのか、あるいは来年11月の大統領選挙後に審議が行われるのかは不透明であり、当面は署名と国内手続きの時期を左右する米国議会の動向が注目されることになりそうだ。
(関連記事)
・【TPP】農林水産予算は政府全体で責任 (15.11.27)
・農業生産額 マイナス1兆円 東大・鈴木研究室が試算 (15.11.26)
・TPP大筋合意は「非常に残念」 自民党島根県連がJAグループ島根に (15.11.20)
・【緊急提言】 TPP「大筋合意」の真相と今後の対応 食料・農業の未来のために 戦いはこれから (15.10.07)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日