【特殊報】ブロッコリーの黒すす病にSDHI剤耐性菌が発生 北海道2025年12月25日
北海道病害虫防除所は、ブロッコリーの黒すす病において、SDHI剤耐性菌が発生していることから、12月24日に令和7年度病害虫発生予察特殊報第1号を発表した。
PDAのみ(左)、ペンチオピラド100ppm 添加(中央)、ピラジフルミド100ppm 添加(右)
※右上:感受性菌(対照)、左上・右下・左下:分離菌1~3(提供:北海道立総合研究機構)
北海道病害虫防除所によると近年、ブロッコリーにおいてSDHI剤を用いて防除を行っても黒すす病の発生が認められる事例が発生しており、2025年に道外で耐性菌の発生が確認された。また、道内でも一部地域で感受性の低下が報告されたことから、北海道立総合研究機構農業試験場において薬剤に対する感受性検定を実施したところ、SDHI剤に対する耐性菌の発生が広く確認された。
発生の確認経過
同所では8~10月、石狩、後志、檜山、胆振、上川、十勝及びオホーツク地方の栽培ほから同病り病葉またはり病花蕾を採取し、病斑部から菌株を得た。これらの菌株について、薬剤添加培地上での生育確認(培地検定)した結果、SDHI剤に対する耐性菌がすべての地方で高頻度に認められた(表1)。
表1:ブロッコリー黒すす病菌のSDHI剤耐性菌検定結果
これらの菌株に対する実際の防除効果は未検討であるが、道外において耐性菌と推察される菌株が発生したほ場では、防除効果の低下が確認されている。
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1) 同病を対象とした茎葉散布防除にはSDHI剤の使用を避ける。
(2) 同病に対する登録農薬はSDHI剤の他ではQoI剤があるが、耐性菌発生リスクが高いことから、QoI剤の使用は1作型に付き1回にとどめる。
(3) SDHI剤及びQoI剤以外の系統の薬剤(ポリオキシンD亜鉛塩水和剤、オキソリニック酸・有機銅水和剤、銅水和剤)の使用を検討する。
(4) 隣接して栽培している作型への感染リスクが高いため、収穫後は速やかに残渣をすき込む。
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