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2016.11.25 
農業競争力強化プログラム(1.2)(上)「生産資材」「販売、流通・加工」一覧へ

農業競争力強化プログラム(案) 平成28年11月
自由民主党農林・食料戦略調査会
農林部会・畜産・酪農対策小委員会
農林水産業骨太方針策定PT
農業基本政策検討PT

 提案された「農業競争力強化プログラム」の概要および全文は以下の通り。

1 生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し

(1)生産資材価格の引下げ
 生産資材価格の引下げと農業及び生産資材関連産業の国際競争力の強化を図るため、以下のとおり取り組む。
 その際、農林水産省、経済産業省をはじめ政府一体となって取り組む。
1.生産資材は、農業の競争力を左右する重要な要素であり、国は、国内外の生産資材の生産・流通・価格等の状況を定期的に把握し、公表する。
 また、国は、民間活力を最大限に活用しつつ、生産資材の安定供給と価格引下げのための施策の具体化に努める。
2.生産資材に関する各種法制度(肥料・農薬・機械・種子・飼料・動物用医薬品等)及びその運用等(法律に基づかない業界団体による自主的な規制も含む)について、国は定期的に総点検を行い、国際標準に準拠するとともに、生産資材の安全性を担保しつつ、合理化・効率化を図る。
 特に、合理的理由のなくなっている規制は廃止する。
3.国は、各種生産資材について、メーカーが、適正な競争状態の下で、高い生産性で生産し、国際水準を踏まえた適正な価格で販売する環境を整備する。
 公正取引委員会も、こうした観点で、徹底した監視を行う。
4.国は、民間のノウハウを活用して、農業者が各種生産資材の購入先について、価格等を比較して選択できる環境を整備する。
5.多品種少量生産が低生産性の原因となっている種類の生産資材(肥料等)については、国は、産地の声をよく聞きながら、各都道府県・地域の施肥基準等の抜本的見直しを推進し、銘柄数を絞り込む。
6.生産性の低い工場が乱立している種類の生産資材(肥料・飼料等)については、国は、国際競争に対応できる生産性の確保を目指した業界再編・設備投資等を推進することとし、政府系金融機関の融資、農林漁業成長産業化支援機構の出資等による支援を行う。
7.メーカーが寡占状態となっている種類の生産資材(農業機械等)については、国は、ベンチャーを含めた企業の新規参入を推進することとし、参入しようとする企業に対して、政府系金融機関の融資、農林漁業成長産業化支援機構の出資等による支援を行う。
8.国は、開発目標(適正機能・合理的価格)を明確にして、民間企業・研究機関・農業者等の連携により国際競争性を有した農業機械の開発を促進する。
 また、時代のニーズと合わなくなっている農業機械化促進法を廃止するための法整備を進める。
9.農薬については、農産物輸出も視野に入れた国際的対応が特に重要であり、国は、ジェネリック農薬の登録のあり方を含め、農薬取締法の運用を国際標準に合わせる方向で、抜本的に見直す。
10.戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。
 そうした体制整備に資するため、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止するための法整備を進める。
11.上記改革を推進するため、生産資材に関し、国の責務、業界再編に向けた推進手法等を明記した法整備を進める。
12.上記改革を推進するため、金融機関による生産資材関連産業の生産性向上に資する経営支援や資金供給の促進、政府系金融機関や農林漁業成長産業化支援機構等との連携強化等を図る。

(2)(1)に関連する全農の生産資材の買い方
1.全農の4買事業の見直し
 生産資材価格の引下げを図るには、生産資材業界の業界再編と合わせて、これに資する全農の生産資材の買い方の見直しが必要である。今後は、全農は、真に、農業者の立場に立って、共同購入のメリットを最大化する組織に転換するべく、以下の改革を実行する。
〇全農は、生産資材に関するあらゆる情報に精通するために、外部の有為な人材も登用し、生産資材メーカーと的確に交渉できる少数精鋭の組織に転換する。
〇全農は、農業者・農協の代理人として共同購入の機能を十分に発揮する。また、全農は、農業者・農協に対し、価格と諸経費を区別して請求する。
〇改革後の全農は、取り扱う生産資材の点数を適切に絞り込みつつ、国内外における価格水準や、世界標準等の情報を常に収集し、競争入札等の方式を積極的に導入することによって、農業者が、仕様、品質、価格面で最も優れた生産資材を調達できるよう支援する。全農が収集する調達に関する情報は、全国の農協や、農業者で共有できる仕組みを整備する。
〇上記方針を組織体制として明確化するため、全農は、従来の生産資材購買事業に係る体制を農協改革集中推進期間内に十分な成果が出るよう年次計画を立てて、機能統合、業務の効率化、人員の配置転換や、必要であれば関連部門の生産資材メーカー等への膿渡・売却を進めるなど、シンプルな体制を構築する。購買事業を担ってきた人材は、今後、注力すべき農産物販売事業の強化のために充てる。
2.全農(子会社を含む。)の生産資材関連事業の在り方
〇全農は、生産資材の安定供給を図る目的で原料(肥料原料、飼料原料など)を輸入する場合は、生産資材メーカーの生産性を十分考慮して、当該原料の販売を行う。
〇全農は、農業者のために、生産資材メーカー・輸入業者に戦略的出資を行う場合は、その戦略目的を明確にするとともに、その効果を毎年会員に明示して、目的に即した効果がない場合は、出資を速やかに見直し、適切な措置を講ずる。
〇また、全農による購買事業において、出資先を特別扱いせず、購入先の一つとして公正に扱う。

2 生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立

(1)生産者に有利な流通・加工構造の確立
 現在の食料需給・消費の実態等を踏まえた効率的」機能的で農業者と消費者双方がメリットを受けられる流通・加工構造を確立するため、以下のとおり取り組む。
 その際、農林水産省、経済産業省をはじめ政府一体となって取り組む。
1.農産物の流通構造や加工構造は、農業の競争力を左右する重要な要素であり、国は、国内外の農産物の流通・加工の実態等を定期的に把握し、公表する。
2.国は、農業者・消費者のメリットを最大化するため、農業者・団体から実需者・消費者に農産物を直接販売するルートの拡大を推進するとともに、農業者の所得向上に資するよう農業者・団体と食品製造業等との連携を一層促進する。
 また、農業者の努力・創意工夫と消費者のニーズ・評価が双方で情報交換できるようICTを最大限に活用するとともに、農産物の規格(従来の出荷規格・農産物検査法の規格等)についてそれぞれの流通ルートや消費者ニーズに即した合理的なものに見直す。
3.農業者は、自らの生産した農産物の強みを生かし高く販売する努力を行う必要がある。
 また、食品小売業者は、消費者の側に見た目にとらわれずに安全で美味しい商品を評価する意識が広がることにより、不必要なコスト増要因を除去できるよう、仕入れ、販売戦略上の取組を行う必要がある。
 このような取組を支援するため、国は、品質等に応じた価格決定がなされるよう、地理的表示、規格・認証等の制度の一層の普及を図る。
4.中間流通(卸売市場関係業者、米卸売業者など)については、抜本的な合理化を推進することとし、事業者が業種転換等を行う場合は、国は、政府系金融機関の融資、農林漁業成長産業化支援機構の出資等による支援を行う。
5.特に、卸売市場については、経済社会情勢の変化を踏まえて、卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止する。
6.小売業については、多数の量販店等による安売り競争の状況を脱却し、生産者と量販店等の双方がメリットを受ける農産物の安定した流通を確保するため、消費者ニーズに合った多様な商品を適正な価格で提供する。ビジネスモデルの構築に向けて、国は、事業再編や業界再編を推進する。
 また、量販店等は、農業者の再生産の確保も考慮し、双方でwin-winな関係維持が可能な適正価格で安定的な取引が行われるよう配慮するものとする。
 公正取引委員会は、量販店等の不公正取引(優越的地位の濫用による買いたたき等)について徹底した監視を行う。
7.国は、民間のノウハウを活用して、農業者が各種流通ルートについて、手数料や取引条件等を比較して選択できる環境を整備する。
 また、農産物の物流については、パレット化やICTを活用した共同配送等の効率化によりコストを削減する等の取組を推進する。
8.加工業については、生産性の低い工場が乱立している種類の加工業界(製粉、乳業等)について、国は、国際競争に対応できる生産性の確保を目指した業界再編・設備投資等を推進することとし、政府系金融機関の融資、農林漁業成長産業化支援機構の出資等による支援を行う。
9.上記改革を推進するため、農産物の流通・加工に関し、国の責務、業界再編に向けた推進手法等を明記した法整備を進める。
10.上記改革を推進するため、金融機関による流通加工関連産業の生産性向上に資する経営支援や資金供給の促進、政府系金融機関や農林漁業成長産業化支援機構等との連携強化等を図る。

(2)(1)に関連する全農の農産物の売り方
 農産物の流通加工構造を改革するためには、流通・加工業界(中間流通、量販店、加工業等)の業界再編と合わせて、これに資する全農の農産物の売り方の見直しが必要である。
1.農産物の様々な価値を市場に届けるための販売体制強化
〇全農は、農業者のために、実需者・消費者へ農産物を安定的に直接販売することを基本とし、そのための強力な販売体制を構築する。
〇このため、全農は、自らの体制整備と合わせ、農林中金等と密に連携して、実需者・消費者への安定した販売ルートを確立している流通関連企業への出資等を戦略的に推進する。また、出資等の効果を毎年会員に明示し、その目的に即した効果がない場合は、出資等を速やかに見直し、適切な措置を講ずる。
〇全農は、上記を達成するため、農協改革集中推進期間内に十分な成果が出るよう年次計画を立てて、安定的な取引先の確保を通じた委託販売から買取販売への転換に取り組む。
2.日本の魅力ある農産物を世界に発信する輸出支援体制の確立
〇全農は、農業者のために、輸出先の国ごとに、強みを有する商社等と連携して実践的な販売体制を構築する(合弁会社の設立、業務提携等)。優先1順位の高い国から取り組み、農協改革集中推進期間内に十分な成果が出るよう年次計画を立てて、主要輸出先国について販売体制の整備を進める。

 なお、全農は、1(2)及び2(2)の自己改革を進めるため、役職員の意識改革、外部からの人材登用、組織体制の整備等を行う。
 また、1(2)及び2(2)の全農の自己改革が、重大な危機感を持ち、新しい組織に生まれ変わるつもりで実行されるよう、全農は、年次計画やそれに含まれる数値目標を公表し、与党及び政府は、その進捗状況について、定期的なフォローアップを行う。

農業競争力強化プログラム(3~8)(中)「収入保険」「土地改良」等

農業競争力強化プログラム(9~13)(下)「飼料用米」「牛乳、乳製品の生産、流通」等

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