「協同組合」を「無形文化遺産」登録-ユネスコ2016年12月15日
日本協同組合連絡協議会(JJC)は12月14日、「協同組合」がユネスコの「無形文化遺産」に登録されたことを発表した。
JJCによると、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は11月30日、エチオピアのアディスアベバで開催した無形文化遺産保護条約第11回政府間委員会で、「共通の利益の実現のために協同組合を組織するという思想と実践」をユネスコ無形文化遺産に登録することを決定した。無形文化遺産への登録はドイツ政府が申請していた。
この決定にあたってユネスコの委員会は、協同組合を「共通の利益と価値を通じてコミュニティづくりを行うことができる組織であり、雇用の創出や高齢者支援から都市の活性化、再生可能エネルギープロジェクトまで、さまざまな社会的な問題への創意工夫あふれる解決策を編み出している」と評価した。
19世紀にイギリスやドイツなどで生まれた協同組合は全世界に広がり、1895年に設立された国際協同組合同盟(ICA)は、世界の協同組合の連合組織であり、現在103か国298組織が加盟。世界で10億人が組合員として参加している。
日本の協同組合も農村社会の助け合いをその先駆けとしながら、20世紀から大きく発展し、現在、協同組合の組合員は6500万人(複数組織への所属を含む)にのぼっている。
JJCは今回の登録について「全世界で展開されている協同組合の思想と実践が人類の大切な財産であり、これを受け継ぎ発展させていくことが求められていることを国際社会が評価したもの」とし「今回の登録を喜びを持って受け止めるとともに、今後も世界の協同組合の仲間と連帯しながら、日本で協同組合の思想と実践をさらに発展させ、よりよい社会づくりに貢献していく」と表明した。
◆無形遺産の新たな側面
ユネスコは無形文化遺産を▽世代から世代へと継承されていること、▽その社会や集団が環境や自然の歴史に対応して絶えず再現していること、などと定義し、さらにこれらの営みを通じて、その社会や集団が自ら同一性や継続性を認識し「文化の多様性と人類の創造性に対する尊重を助長するもの」と定義している。
2013年に日本は「和食」を申請し登録された。それもこの定義に合致したからだが、今回の協同組合は「共通の利益の実現のために協同組合を組織するという、思想と実践」として、和食と同じく、人類の無形文化遺産の「代表一覧表」に登録された。
申請したのはドイツの政府機関である同国のユネスコ委員会。関係者によるとライファイゼン協同組合などドイツの協同組合組織が同国の政府機関である同国ユネスコ委員会に登録申請を働きかけたという。
その結果、日本が「和食」の世界遺産登録を得ようと国を挙げて申請したのと同じことを、ドイツは「協同組合」で登録申請することになった。ただ、その申請が認められた結果は、ドイツ一国にとどまるものではなく、世界の協同組合全体の価値を評価するものとなったといえる。
ドイツの申請書には、協同組合は芸術・文化・創造の振興に力を入れている組織や、メディア協同組合は独立したメディアによる報道を保証していることなどを指摘し、「協同組合の概念が異なる国や文化で適用可能であることを証明している」とし、「今回の登録は地球規模で協同組合の思想と実践を強化するだろう」と強調していた。
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