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2016.12.15 
「地域総合産直」の成果と課題を考える一覧へ

 生産と消費を結ぶ研究会(松本和広会長)は12月10日、東京都内で定例の小研究会を開き、地域総合産直の到達点と今後の可能性について意見交換した。地域総合産直を提唱した東都生協、それを実践してきた茨城県のJAやさとなどが報告した。生協や農協の担当者、研究者など80人が参加した。

 地域総合産直とは、視点を「地域」に置き、単に農産物の取引きに限定するのでなく地域農業の発展、農村社会の維持に、産直を通じて参画する取り組み。東都生協が1988年から唱え、農協や生産者団体との協同事業、生産、産直加工品の共同開発など手がけてきた。
 研究会では東都生協の風間与司治専務が、地域総合産直について、「農漁民を発展させるという目的の延長線上に発展したものだ」という。つまり、その根底には生産者と一緒に食糧を守るという視点がある。その前提になったのは、1987年の、生協側からの「土づくり宣言」。これに応えたのがJAやさとだった。
 JAやさとでつくる青果物、卵、納豆の農産物を丸ごと産直した。こうした取り組みで、地域総合産直を提唱した年には、供給高が3割も伸びた。
 しかし2000年ころをピークに供給高は下降線をたどり続けている。その原因について同専務は、1.本当に消費者の求める商品を供給できたか、2.自国の農業を守る意識や行動につながったか、3.加工の6次化など協働が充分だったかなど、検討すべきこととして挙げた。
 地域総合産直の後退について、東京農工大学の野見山寿夫教授は、「総合化の方向ではなく、多角化、分散化の途だったのではないか」と指摘。また生協側も「(消費者の)『欲望の高度化』に対応すべく、複数産地化や産地を選別することに梶を切り、結果としてJAやさとのシェアは低下し続けた」と分析する。
 ただ、生協との交流の過程で、有機農業と新規就農研修制度が定着し、研修農場「ゆめファーム」で、毎年1家族ずつ研修生を受け入れ、それがすでに16期生まで修了し、独立就農した。JAの有機農業部会員28人のうち、3分の2をこうした新規就農者が占めており、これらは地域総合産直の取り組みの大きな遺産となって、現在のJAやさとの農業を支えている。
 意見交換では、「総合産直の意義が生協組合員に届いていたか」、「組合員は地域よりも商品を求めがち。本当の産直とは何か、もう一度考え直す必要がある」、「生協の共同購入は個配が中心になり、組合員とのコミュニケーションがなくなった。まず配達員の教育を」などの発言があった。
 また「農産物だけでなく、食と自然エネルギーの総合的産直を考えるべきではないか」との問題提起などがあった。

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