7年間で食糧支援コストが2.4倍に2017年7月28日
『2017年世界の食糧支援報告書』
国連WFPは7月20日に「2017年 世界の食糧支援報告書~実績検証と見通し~」を発表した。
報告書では、食糧支援が人道危機における救命や飢餓の根本原因解決にどのように役立っているかについてまとめるとともに、世界で複雑な人道危機が同時多発し、支援ニーズが空前の高まりを見せる中、支援物資を届けるためのアクセスの困難さや、食糧システムの不安定さや非効率性が膨大なコスト増につながっていると論じている。
例えば、 世界最大の食糧支援機関である国連WFPは、2009年から15年の7年間で、22億米ドルから53億米ドルへ140%のコスト増に直面しているという。特に、大規模で複雑な食糧危機に瀕しているアフリカ東部・中央部および中東・アフリカ北部の2地域に、その総支出の70%がさかれている。
こうした支援物資を届けるためのアクセスが改善されれば、毎年10億米ドルのコスト削減が可能だという。また、国連WFPが活動しているおよそ80か国で、気候変動や政治・経済面での打撃に対してよりよい対策が取られれば、さらに毎年22億米ドルのコストを削減することができるとしている。
加えて、これらの国々で、食糧の生産から加工、そして飢餓に直面している層へ届けるまでの食糧システムが改善されれば、さらに4億4000万米ドルを削減することができるとしている。
デイビッド・ビーズリー国連WFP事務局長は「何よりも必要なのは、世界が目覚め、現在起きている戦争や紛争を終結することです。真の意味で進展し、飢餓を終わらせるためには、それが不可欠です」と述べている。
さらに「世界の9人にひとり、およそ8億人がおなかをすかせたまま眠りについています。しかしながら、人が起こした紛争や衝突により、支援を必要としている人びとへの支援がますます困難になっています。このような障壁が取り除かれれば、長期的な解決に向けて前進できるでしょう」とも。
世界の食糧支援分野では、09年から16年の間に大きな変化が見られ、国連WFP内では、食糧現物を配給する形の支援の割合は54%から40%未満に減少。一方で、食品購入費として現金や電子マネーなどを支給する形の支援の割合は、09年の1%未満から16年には20%へと増加している。
また、 途上国政府自らが食糧支援へ投資する額が、国際社会からの支援を数桁上回っている。例えばインドでは政府の補助を受けた食糧配給により約8億人が支援を受けているという。これらの途上国政府による自助努力を支援するために、国連WFPでは、従来、全体額の1%未満であった技術支援活動への支出を、8%へと増やしている。
この報告書全文や概要(英語)は下記から
http://www.wfp.org/content/2017-world-food-assistance-taking-stock-and-looking-ahead
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