気温上昇が収量増に影響 トウモロコシは1.8度、米・麦が3.2度以上2017年8月30日
地球温暖化による穀物収量への影響が心配されるが、トウモロコシとダイズは今世紀末までに気温上昇が1.8度未満でも、また米と小麦は3.2度を超えると、収量増加が停滞し始めると予想される。農研機構等がシミュレーションし、8月28日、その結果を明らかにした。
この予測は、気候変動(気温上昇)の影響に加えて、経済発展に伴う既存の増収技術の開発途上国への普及や、播種期の変更などの簡易な対策技術の導入などを考慮した。それによると、トウモロコシとダイズでは、18世紀の産業革命以前から今世紀末までの気温上昇が1.8度でも世界平均の収量増が抑制され、気温の上昇が大きいほど将来の収量増加が低くなる。
米と小麦は、同じく今世紀末の気温上昇が3.2度を超えると収量増加が停滞し始めるが、上昇がそれ未満の場合は、世界の平均収量への影響はあまりないことが分かった。ただし、米や小麦でも低緯度地域などでは悪影響を受ける場合がある。
世界の作付面積でその影響割合をみると、収量増加が1.8度の温度上昇で停滞し始めるトウモロコシが1億3600万haの83%、ダイズが7400万haの80%。また3.2度を超えると影響の出る米は、1億5000万haの48%、小麦が2億900万haの32%となっている。
こうした予測結果から、今後、気候変動の下で継続的に収量を増加させるには、「2000年ころまでに開発された増収技術の普及を開発途上国でさらに進めることに加え、積極的な気候変動への適応技術を開発し、取り入れていくことが必要」としている。なお、この予測は、農研機構農業環境研究センター、国際農林水産業研究センター、国立環境研究所の共同研究で行なった。
(関連記事)
・【木本昌秀教授・東京大学大気海洋研究所副所長に聞く】異常な夏 今、地球は?(17.08.30)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日