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生産緑地制度で農業者の選択肢を拡大2018年4月5日

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 市街化区域農地は全農地のわずか2%(7.4万ha)だが、消費地に近いという利点を活かし、農産物販売額は約1割(4400億円)を占めている。こうした都市農業は新鮮で安心・安全な地域の農産物を供給するだけでなく、都市住民が農業を理解する機会となったり災害時には防災空間となったり多面的な機能を持つ。こうした機能を評価し農地として活用していくために平成27年に成立した「都市農業振興基本法」では、市街化区域農地について従来の「宅地化すべきもの」から「都市にあるべきもの」へとその位置づけを180度転換した。さらに29年には生産緑地制度の面積要件の引き下げなどの法改正がなされより活用しやすくなっている。この法改正の内容と今後の都市農業の課題について整理した。

◆直売所設置も可能に東京都板橋区の生産緑地

 市街化区域農地は宅地並み課税となるが、生産緑地の指定を受けると固定資産税や都市計画税、相続税が優遇される。JA全中が作成したパンフレット(「新・生産緑地制度活用のすすめ」)には北関東の中核市のある事例が紹介されているが、それによると固定資産税、都市計画税で10aあたり年間21万5000円が、生産緑地の指定を受けると同1800円と大きく負担が軽減されるという。

(写真)東京都板橋区の生産緑地地区

 

 生産緑地制度は30年間の土地利用制限が課せられるため、農家には後継者の選択を奪うのではないかという懸念がある。しかし、これは誤解で、途中で相続が発生した場合、相続する後継者が生産緑地制度を続けるかどうかの選択ができる。そのため「自分の代は営農を継続したい」という農家にとって利用しやすい制度になっている。
 さらに29年の改正では市町村が条例で定めれば生産緑地の指定を受けることができる面積要件がこれまでの500平方mから300平方mに引き下げることが可能になったため、より多くの農地を生産緑地として活用できるようになった。
 あわせて「一団の農地」の考え方も緩和された。これまでは指定を受けた農地から6m以上離れた小さな農地は「一団の農地」とは見なされなかったが、今後は物理的に隣接していなくても街区(ブロック)内に複数の農地(個々の農地はそれぞれ100平方m以上必要)があれば、一団の農地として見なして指定することが可能になった。
 また、これまでは生産緑地内には生産、集荷、貯蔵などのための施設しか設置が認められなかったが、市区町村長の認可を受ければ、生産緑地内で生産された農産物の直売所や加工所、農家レストランを設置することもできるようになった。したがって農産物を栽培するだけでなく、「都市」という立地を活かした多様な農業経営が可能になっているといえる。

 

◆特定生産緑地も創設

 この4月には営農継続意向のある農家が引き続き税制上の優遇が受けられる「特定生産緑地」制度も創設された。
 生産緑地は指定から30年が過ぎるといつでも市町村に対して
ができる制度となっている。現在の生産緑地の約8割の1万haは平成4年に指定された。そのため平成34年以降、これらの生産緑地はいつでも買取り申し出ができることになるが、それは土地の利用制限がない状態となることから税制措置が変わる。
 それを解消するために創設されたのが「特定生産緑地」で、所有者が自らの意思でこの指定を受ければ10年間は税制特例措置が延長できる。さらに10年経過後は、改めて所有者の同意で繰り返し10年の延長ができることになっている。
 特定生産緑地を選択すると営農を続ける場合、固定資産税・都市計画税は引き続き農地評価・農地課税となる。相続する場合も相続税納税猶予を受けて営農を継続するか、買取り申し出をするか選択できる。
 さらに今国会では所有者が第三者に都市農地を貸しやすくする法案(都市農地の貸借の円滑化に関する法律案)も審議されており、特定生産緑地を引き継いだ次世代が農地を残しやすくなる方向での制度検討も進んでいる。

 

◆地方にも制度導入を

東京都西東京市の生産緑地 生産緑地制度は各自治体がその導入を判断するが、国土交通省は都市農業振興基本法の制定を機に三大都市圏以外の地方圏でも生産緑地制度を導入するよう推奨している。また、三大都市圏でも生産緑地の追加指定の検討も推奨している。
 制度の改正や国の方針転換もあってJAグループにとっても「生産緑地制度の活用促進は組織挙げて取り組むべき最重要の課題」(JA全中)となっている。
 JA全中によると地方圏の市街化区域農地で営農継続するうえでの支障を農業者に聞いたところ、固定資産税負担が76%ともっと高く相続税負担が66%と続き、営農環境の悪化(39%)や収益性の低下(26%)などより回答率が高かった。地方圏の市街化区域農地では本人に農業を続ける意欲があっても、自分では解決できない状況が後継者不足の大きな要因となっているといえる。
 こうした現状を解決するには組合員との話し合いをもとに、生産緑地制度導入を地元市区町村へ働きかけていくことが重要になる。

(写真)東京都西東京市の生産緑地地区

 

◆組合員の選択肢拡大

 JAにとっても生産緑地制度導入の取り組みは意義がある。
 これまで解説したように関係制度が整備されたことを受けて、市街化区域にある組合員の農地を農的に活用する選択を後押しするというJAならでは取り組みが期待される。JAは農業者の組合だが、土地所有者の組合でもあるという観点も必要だ。また、生産緑地導入に向けた取り組みを通じて次世代との信頼関係づくりや、地域住民へのJA・農業理解促進にもつながる。JA自己改革で求められることの具体化でもある。
 市街化区域農地が「都市にあるべきもの」と位置づけされるなど、都市農業を取り巻く環境が大きく変化するなか、農業振興と街づくりの両面でJAの役割が重要になっている。

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