集水井の補強工法を開発 農研機構2018年10月12日
農研機構と共和コンクリート工業(株)、芦森工業(株)、芦森エンジニアリング(株)は共同で、集水井を容易・迅速かつ安全に補強できる工法を開発したと、10月9日に発表した。
集水井とは、地すべり面付近の地下水を排水し、地すべりを抑止するための水抜き井戸のこと。農地関係の地すべり防止区域は全国に約1975箇所が指定され、その多くに集水井が設置されている。その中には設置から50年以上経過したものもあり、老朽化により腐食や損傷の発生が見られる。しかし、内部が腐食しかつ鋼部材が入り組み、作業スペースが限られ構造や老朽化の程度も大きく異なるため、それらを補強するための一般的な工法は確立されていなかった。集水井の更新はいままで、埋め戻して新たに作り直す方法が用いられてきたが、重機が必要であることや工期が長いなどの問題があった。
今回、農研機構と共和コンクリート工業(株)、芦森工業(株)、芦森エンジニアリング(株)は共同で、集水井を容易・迅速かつ安全に補強できる工法を開発した。この工法では、集水井の内側に軽量な鋼製リングと型枠を組み立て、集水井と型枠との間に高流動モルタルを流しこみ、鋼製リングとモルタルが一体化したモルタル内巻を造ることにより、集水井を補強する。部材が軽量のため、運搬・設置が手作業で行うことができ、狭隘で作業が困難な集水井の中でも短期間に施工ができる。また、ライナープレートの内側に内巻が追加されるため集水井の強度や耐久性が向上する。
今後は一般的な補強工法となるようにさらなるコストダウンと材料搬入が難しい集水井にも対応できるように工法の改良を進めていくと発表している。
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