援農ボランティア 農業全般の研修を NPO「農の未来ネット」が提案2019年6月3日
高齢化や担い手の不足に悩む都市農業を応援する援農ボランティアが各地で生まれているが、参加者の高齢化や受け入れ農家の準備不足、研修機会の不足など、いくつかの問題がある。特定非営利活動法人・農の未来ネットは、東京都多摩地域を中心としたヒアリング調査に基づき、取り組むべき課題を提案した。特に、新たな参加者の開拓、参加者に対する農業全般の研修の必要性を指摘する。
援農ボランティアが都市農業の支えに(横浜市で)
調査したのは区・市の行政とNPO法人、任意団体など13援農組織。援農ボランティア制度のある自治体では、一定の講習修了者に修了認定を与え、参加を認めている。講座は座学と実習からなり、多くの自治体では年間の座学数が2~4回、実習は10~30回が多い。ボランティア認証の資格は概ね7~8割の出席が必要。受講料は無料と有料があるが有料の場合は、専用農場で実施し、受講料は年間1~2万円。
ボランティアの参加動機は、「土や農業に触れたい」「定年後の自由時間を有効に活用したい」「運動不足の解消によい」などのほかに、市民農園と大きく異なるのは「安心・安全なの食材を使いたい」「農家の役に立ちたい」「潰廃(かいはい)する農地を守りたい」という社会貢献や新たなコミュニケーションを求める人が多い。
派遣頻度は、農家に代わって栽培から販売まですべての作業を請け負う特定農家支援組織の週3回を除くと、概ね週1~2日、1回の作業時間は2~3時間が多い。受け入れ農家にとっては営農継続の励ましになるものの「ボランティア受け入れのための前日の準備がわずらわしい」「夏の暑い時期には集まらない」「体験したいという憧れだけでは役に立たない」などの意見がある。
一方、ボランティア側では、ボランティアを単なる無料報酬制度と捉えている農家があるほか、「作業指示が不明瞭」「除草など単純作業が多い」「農家との会話がない」などの不満もある。また、受け入れ農家の作業手順や流儀があり、せっかく研修で学んだ技能が生かせないなどの問題もある。
ヒアリングの結果から、同ネットは援農ボランティアの強化策として、(1)ボランティア参加者の開拓、(2)受け入れ農家へのボランティア活動に関する学習機会の創設、(3)農業全般に関するボランティア研修機能の強化、(4)都市農地の多面的価値に対応する全庁的な取り組み体制の構築の4つの提案を行っている。
特に、農家の高齢化や非農業就業者による相続が増えるなか、これから栽培計画から販売までの全工程での援農ができるボランティア組織が求められ、農の未来ネットは「現在の栽培技術中心でなく、自治体などは、農家経営全体に関わる幅広い養成講座とすべきである」と提言している。また農業振興や体験農場は農業委員会、生産緑地は都市計画課、市民農園はコミュニティ課、学童農園は教育委員会と、所轄がばらばらで「市民が体感する農地への思いとは大きな乖離がある」としている。
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