農林水産物・食品の輸出額1兆円目前で足踏み 農水省2020年2月10日
農林水産省は2月7日、「2019年の農林水産物・食品の輸出実績」をとりまとめた。輸出額は9121億円となり、前年同期比で0.6%増加したものの1兆円の目標は達成できなかった。
農林水産物・食品輸出額の推移
江藤拓農林水産大臣は、2月7日の定例記者会見で、7年連続で微増し、過去最高を更新したと述べ、「しかしながら、1兆円の目標には到達できなかった」という事実を真摯(しんし)に受け止めたいと語った。
原因について、ブリ(前年同期比45.4%増)、牛肉(同20.0%増)、かんしょ(同22.9%)は大幅に増えたが、特に水産物では、サバ(同▲22.8%)、カツオ・マグロ(同▲14.9%)、植木等(同▲22.3%)などが減少したことから、トータルとしては0.6%の増加に留まったなどと述べた。
また、今年4月から、江藤大臣を本部長とする農林水産物・食品輸出本部が設置されることにも触れ、「縦割りを排して、しっかり輸出拡大、そして生産者への利益の還元に向かって努力する」との決意を述べた。
今後の対応については、輸出拡大には官と民間や様々な機関が連携することが必要だとし、JFOODO(日本食品海外プロモーションセンター)やJETRO(日本貿易振興機構)や例えば酒造組合などの民間団体や経済界との連携を強め、輸出の拡大に努めるとした。
2019年の農林水産物・食品の輸出実績(速報値)の概要は次のとおり。
◎農産物・林産物・水産物の実績
▽農産物 5877億円(対前年同期比+3.8%
これを品目別内訳で見ると、
○「加工食品」が3270億円(同+5.5%)で、そのうちの2割が「アルコール飲料」661億円(日本酒が234億円)で、次いで1割を「ソース混合調味料」337億円、1割弱を「清涼飲料水」304億円が占めている。
○「畜産品」は708億円だが、うち「畜産物」は534億円となっている。畜産物のうち「牛肉」が297億円で56%弱を占めている。
○「穀物等」は462億円で、「米(援助米除く)」は46億円となっている。
○「野菜・果実等」445億円で、うち青果物は297億円となっており、その49%弱がリンゴ145億円である。
▽林産物 371億円(同▲1.4%)
品目別内訳では、4割を「丸太」147億円が占めている。
▽水産物 2873億円(同▲5.2%)
品目別内訳では、「水産物(調製品除く)」が2163億円、「水産調製品」が710億円となっている。
前者の「水産物」の内訳では、「ホタテ貝(生鮮・冷蔵・冷凍等)447億円、「真珠(天然・養殖)」329億円の2品目で36%弱を占めている。
また「水産調製品」の内訳では、「なまこ(調製)」208億円だけで30%弱を占めている。
このように輸出のベスト5は、アルコール飲料、ホタテ貝、ソース混合調味料、清涼飲料水と、加工品と水産物が占めている。
◎輸出先のベスト5
▽1位 香港(2037億円)【主な輸出品目(上位3品目、括弧内は各輸出先の全体に占める割合(以下同)】真珠14.0%、なまこ(調製)9.2%、たばこ4.8%
▽2位 中国(1537億円)【主な輸出品目】ホタテ貝(生・蔵・凍)17.5%、丸太7.8%、アルコール飲料6.6%
▽3位 米国(1238億円)【主な輸出品目】ブリ12.9%、アルコール飲料12.7%、ソース混合調味料5.6%
▽4位 台湾(904億円)【主な輸出品目】リンゴ11.0%、アルコール飲料6.9%、ソース混合調味料6.5%
▽5位 韓国(501億円)【主な輸出品目】アルコール飲料12.3%、ソース混合調味料6.7%、ホタテ貝(生・蔵・凍)5.6%
なお、6位以下の国・地域への「農産物」輸出を見ると、6位のベトナムでは「粉乳」が品目第1位の16.3%となっている。また、8位のシンガポールでは、品目第2位に「牛肉」5.5%が上がっている。
なお、EUへの輸出額は494億円で、うち「アルコール飲料」が18.5%、「ソース混合調味料」が7.2%、「緑茶」が4.7%となっている。
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