国産唯一の紅花をPR 「最上紅花」の世界農業遺産認定めざし始動 山形県紅花振興協議会2020年4月6日
山形県紅花振興協議会は3月27日、「紅花の農業システム」を世界農業遺産へ認定申請することを決めた。6月10日までに農林水産省に認定申請書を提出するための準備を進める。

「最上紅花(もがみべにばな)」は、美しい赤を生み出す染色用原料。これを生産する伝統的な農業システムは世界でも唯一のものだ。
同協議会では、これまで、紅花栽培研修会による新規栽培者の掘り起こしやシンポジウムの開催、地域における紅花文化伝承の支援強化などとともに、のぼりやリーフレットなどを活用してPRを行ってきた。
山形県内では、例年7月上中旬ごろに紅花が開花し、これに合わせて各地で「紅花まつり」が開催される。同協議会では、世界農業遺産認定の機運醸成を図るため、紅花が咲き誇る会場で農業システムのPRを予定している。
■染色用紅花とは
紅花は、世界的には油用としての利用がほとんどだが、山形県では、日本で唯一、染色用の農業生産を行っている。
紅花の花弁に加水し酸化させ餅状にしたものを丸く平たい形に伸ばして乾燥した「紅餅」を使う染色手法は、江戸時代から続き、現在も生産されている。
紅花から得られる赤は、鮮やかな色彩が特徴。古くから神事の装束や着物などの染色、浮世絵の絵具などに用いられ、日本の伝統文化の発展に貢献してきた。現在も着物などの染色や口紅などに利用されている。
■紅花と山形
中近東が原産とされる紅花は、シルクロードを通じて伝わり、各地に広がった。日本には、3世紀頃に伝来し、山形には室町時代末期頃に伝わったと言われている。山形の気候や風土が紅花の栽培に適していたことや、最上川舟運の発達により、江戸時代には日本一の産地となった。
当時の紅花は、「米の100倍、金の10倍」と言われるほどの高級品で、紅花交易に携わる豪商や豪農が地域経済を支えたという。その後は、化学染料の台頭により需要が減り、現在は山形だけが日本の伝統的な「赤」を受け継いでいる。
満開の紅花畑は、同県民の原風景であり、昭和57年には紅花が山形県の花に制定された。
■紅花と観光
紅花が開花する7月上中旬には、県内各地で紅花まつりが行われる。紅花摘み体験や紅花染め体験などたくさんの催し物が行われ、満開の紅花畑を見て紅花の魅力に触れることができる。
また、8月には山形の夏の風物詩である「花笠まつり」が行われ、毎年たくさんの観光客が訪れる。まつりの踊り手が持つ花笠は、「むしろに広げた紅餅」を表現している。
山形の夏の風物詩である「花笠まつり」まつり
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