県内未確認のサツマイモ基腐病を確認 岐阜県2021年2月9日
岐阜県病害虫防除所はかんしょのサツマイモ基腐病を確認。これを受け、特殊報第6号を2月8日に発表した。同県のサツマイモ基腐病の発生は初となる。
腐敗塊根(品種:べにはるか)なり首側からの腐敗
9月に県中部のサツマイモ栽培ほ場で、地上部が黄化する症状を確認した。10月下旬の収穫時には、ほ場の一部で枯死する株がみられたが、収穫した塊根に異常はなかった。その後、12月まで貯蔵した塊根で、なり首側から腐敗する症状が多数確認された。そこで、貯蔵中に同様の症状を呈する検体について、農研機構九州沖縄農業研究センターに診断を依頼した結果、同県では未確認のサツマイモ基腐病による腐敗と判明した。
この病は2018年に沖縄県で初めて確認されて以降、鹿児島県、宮崎県、熊本県、福岡県、長崎県、高知県、静岡県で確認されており、同県は8例目となる。同県防除所の担当者は「今後のこの菌が発生する危険性を回避するため、発生県から苗の持ち込みは控えてほしい」と注意を呼びかけている。
はじめにほ場の一部で葉が黄化し生育不良となり、株の基部は黒暗褐色に変色し、やがて茎葉が枯死する。発病株には多数の分生子殻が形成され、降雨などの水によって内部から大量の胞子が漏出する。胞子は激しい風雨やほ場の停滞水とともに畝や畝間に沿って拡散し、周辺の健全な株に感染する。被害が著しいほ場では基部から腐敗が拡がるため、塊根はなり首側から腐敗することが多く、塊根全体に拡がる。なお、収穫時に健全な場合でも収穫後の貯蔵中に発病することがある。
発生ほ場での茎葉の枯死
防除対策は次のとおり。
(1)発生県から苗の購入をしない。購入した苗は苗消毒の有無を確認し、 苗消毒がされていない場合はかんしょでこの病に登録がある農薬で苗消毒を行う。
(2)採苗する場合は、腐敗や傷のない健全な種いもを使用し、この病が発生した苗床では採苗しない。
(3)発病した株(茎や塊根)は速やかに抜き取り、ほ場内や周辺に残さないよう適正に処分する。発病株の除去前後に、周辺株への感染を予防する銅剤のZボルドーやジーファイン水和剤を散布する。
(4)排水不良な場所で発病しやすいため、ほ場内の排水溝が確実にほ場外の排水路に繋げられているかなどの点検を行い、排水対策を徹底する。
(5)この病原菌はサツマイモの残渣で越冬し、翌年の一次伝染源となる。そのため、腐敗塊根などのり病残渣はほ場外へ持ち出し、適切に処分する。
(6)この病が多発したほ場では連作を避け、他作物との輪作を行う。
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