農福連携で包括協定-農水省・全中・農福協会2021年4月20日
農林水産省とJA全中、日本農福連携協会は4月19日、農福連携に関する包括的連携協定を締結した。3者は農福連携の全国的な展開に向けて普及啓発活動や、農業者と障がい者のマッチングなどを進める。
左から中家会長、野上農相、皆川会長
農林水産省が関係団体と包括連携協定を結ぶのは初めて。協定では、農福連携の全国的な展開と定着、障がい者等の雇用就労の促進、農福連携の質の向上、対象領域の拡大などで連携することを締結した。
農福連携に取り組む事業体は2019(令和元)年で4117件。そのうち農業側で障がい者を雇用している事例は1500件程度となっている。
農福連携は障がい者などが農業分野での活躍を通じて、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取り組みとして期待されている。また、障がい者等の就労や生きがいの場をつくるだけなく、農業分野での新たな働き手の確保にもつながる。
JAで障がい者に農業で働いてもらう取り組みをしているのは71JA(農水省調べ)だが、そのほか特別支援学校生への農業実習や就労支援、社会福祉法人などが農業に取り組む際の営農指導や販売支援も進められており、JA全中のまとめでは2020年度は209JAが農福連携に取り組んでいる。
農水省の調査では農福連携に取り組む農業経営体の76%が「障がい者を受け入れて貴重な人材となった」と回答しているほか、57%が「労働力の確保で営業等の時間が増えた」と認識、78%が「5年前と比較して年間売上額が増加した」と回答している。障がい者を雇用するため作業の中身や手順を見直し、障がい者の特性を生かす取り組みが売上額の増加をもたらしたと指摘されている。
一方、障がい者にとっては「体力がついて長い時間働けるようになった」(障がい者就労施設の79%が回答)、「表情が明るくなった」(同62%)との声が聞かれる。また、過去5年間の賃金・工賃が増えたとの回答は74%となっている。ただ、こうした成果はまだまだ知られておらず、今回の連携協定締結を機に普及啓発のためのシンポジウムの開催や、農業経営者と障がい者のマッチング、さらには林業や水産業などまで対象を広げることにも取り組む。
同日、野上浩太郎農相、JA全中の中家徹会長、日本農福連携協会の皆川芳嗣会長が協定書に署名。野上農相は「農林水産分野での障がい者の雇用や就労を通じて、より一層の地域の活性化と共生社会の実現に取り組みたい」と話した。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(148)-改正食料・農業・農村基本法(34)-2025年6月28日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(65)【防除学習帖】第304回2025年6月28日
-
農薬の正しい使い方(38)【今さら聞けない営農情報】第304回2025年6月28日
-
【特殊報】ウメにクビアカツヤカミキリによる被害 県内で初めて確認 三重県2025年6月27日
-
【サステナ防除のすすめ2025】連作障害"待った" 野菜の土壌消毒編(1)2025年6月27日
-
【サステナ防除のすすめ2025】連作障害"待った" 野菜の土壌消毒編(2)2025年6月27日
-
大人の食育を推進 官民連携食育プラットフォームが設立総会 農水省2025年6月27日
-
全農 備蓄米 出荷済み20万t超える 進度率7割2025年6月27日
-
食品ロス 国民1人当たり37kg 3万1800円損失 2023年度2025年6月27日
-
5月の米の家庭内消費、前年同月比で減少幅拡大 米価高騰が消費冷ます 米穀機構2025年6月27日
-
(441)「とんかつ」はなぜ各国で愛されているのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月27日
-
【JA人事】JA松山市(愛媛県)阿部和孝組合長を再任(6月20日)2025年6月27日
-
【JA人事】JAめぐみの(岐阜県) 新組合長に渡邉健彦氏2025年6月27日
-
【JA人事】JA木曽(長野県)新組合長に亀子宗樹氏(5月29日)2025年6月27日
-
【JA人事】JAおちいまばり(愛媛県)渡部浩忠理事長を再任(6月25日)2025年6月27日
-
【JA人事】JA仙台(宮城県)藤澤和明組合長を再任2025年6月27日
-
果樹王国和歌山から旬を届ける「みのりみのるマルシェ」東京・大阪で開催 JA全農2025年6月27日
-
伊藤園と共同開発「ニッポンエール 栃木県産にっこり梨SODA」新発売 JA全農2025年6月27日
-
【役員人事】農協観光(7月1日付)2025年6月27日
-
【生乳需給で中酪要請】酪農9700戸割れ 家族経営支援に重点、離農高止まりに危機感2025年6月27日