Jミルク 緊急生乳出荷抑制対策 2.5億円で支援2021年10月27日
Jミルクは10月26日、年末年始の生乳需給が大幅に緩和する見通しであることから、一時的な緊急生乳出荷抑制対策を実施すると発表した。
生乳生産は、北海道、都府県ともに好調で、9月の生乳生産量は北海道が対前年比104.2%、都府県が104%、全国で104.2%となった。
一方、生乳需要については、10月1日に緊急事態宣言が解除されたことから業務用需要の一定の回復が期待されるが、インバウンド需要はなくなったままであり、家庭内需要も昨年のような巣ごもり需要はみられず低調となっている。9月の牛乳の需要は対前年比98.7%となった。
こうしたなか年末年始には飲用が需要期でないうえ、一部量販店では正月3が日の休業や、冬休みで学校給食がないこともあり、Jミルクでは「生乳需給は大幅に緩和し、処理不可能乳が発生する恐れが例年以上に高まっている」としている。
現状の見通しからすると、12月25日から1月3日のコア期間で処理不可能乳が発生する恐れがあり、現時点で約5000tと試算されている。12月の全国の日量生乳生産量は2万tを超える見通しだが、その4分の1近くが脱脂粉乳やバター向けにも処理不可能となりかねない。
かりに処理不可能乳が発生し廃棄となれば、増産を続けてきた酪農家の生産意欲の減退と、これまで関係者一体で強化してきた生乳生産基盤を損ない減産にもつながる恐れもある。
減産となればコロナ後の需要回復に応えられなくなるばかりか、夏の需要期を中心に生乳の需給ひっ迫に拍車がかかり、家庭向けのバター不足が再発するなど、消費者の不信も招きかねない。
こうしたことからこの年末年始と、年度末に限った対応として一時的な生乳出荷の抑制対策に業界が一体となって取り組む。
そのため緊急酪農生産基盤堅持対策事業として2.5億円する。
生産段階の取り組みでは早期乾乳、乳房炎対策としての治療や出荷予定牛の繰上げ出荷、全乳哺育などを行う。酪農経営や乳牛にダメージを与えないことが前提。
年末年始の出荷抑制対象期間は12月21日から年明けの1月10日。この期間に生乳生産量を一定程度抑制した酪農経営体に一定額を助成する。地域の実情や実態をふまえ、具体的なスキームは、今後、指定団体、中央酪農会議と地域別に検討する。
同時に牛乳の消費促進にも取り組む。業界関係者が需給状況について認識を共有するため、関係者自らが牛乳を購入する「#1日1L」運動を推進し、家庭や地域にも牛乳の消費を働きかける。
関係者自らの行動を通して消費者に理解を広めたたい考えだ。消費者に需給状況を伝えるコミュニケーションツールも作成する。
かりに新型コロナ感染の第6波がきて再び休業要請などの事態になれば業務用需要を中心に需要が減退し、需給緩和は一層深刻になりえる。酪農の生産基盤の維持に向け「関係者一体となった取り組みを進めたい」(Jミルク)と強調する。
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