水田農業高収益化 256産地が計画 2021年12月末2022年2月7日
水田に野菜や果樹など高収益作物を導入しようとする政府の「水田農業高収益化推進計画」では2025(令和7)年度までに加工・業務用野菜の国産への置き換えや、果樹の輸出拡大などに取り組む産地を500創設するとしている。2021(令和3)年12月末で256産地が計画を策定している。

昨年12末時点で29都道府県で146の産地計画数となっており取り組む産地は256産地ある。
農水省によると、全作付け延べ面積に占める野菜の延べ作付け面積が伸びている都道府県は農産物産出額の伸び率が高い。
平成18年と28年を比較すると長崎県では野菜の作付け面積が35%伸びた。その結果、農産物産出額は1053億円となり121%増えた。埼玉県も同期間で26%伸びたことで111%増えて1750億円となった。
一方で水稲の主産地である東北・北陸では野菜の作付け面積の伸び率が低く、農産物産出額も伸びていない。平成18年からの10年間で滋賀県では野菜の作付け面積6%の伸びにとどまり、農産物産出額は99%と下がった。新潟県も10%の伸びにとどまり産出額は86%となった。
このため水稲の主産県で野菜の生産拡大の取り組みが進められている。
秋田県では「園芸メガ団地」構想を推進している。JAあきた白神では、ねぎを基幹とした水稲と複合経営体とねぎを中心とした野菜専業の担い手を育成してきた。令和元年でねぎ部会は158戸。部会の3割は1ha以上の規模を誇る。
大規模な園芸経営を育成するため、園芸メガ団地を形成してきており、農作業機械、パイプハウス、予冷庫などの費用を県が助成。国はほ場整備(大区画化、地下かんがい施設整備等)を実施して11.5haのメガ団地を整備した。
富山県ではJAとなみ野を核として野菜等の1億円産地づくりを推進している。国は重点品目の栽培技術など課題解決を2分の1補助、機械や集出荷施設の整備を支援している。
品目はたまねぎで水稲との複合経営に取り組んでいる。たまねぎを選んだ理由は水稲作業と競合しないことや、機械化一貫体系の導入が可能なこと。また、端境期(7~8月)に出荷することが可能になる。
116経営体(集落営農4割、法人2割、その他4割)だが、集落営農組織が生産量の7割を担っている。機械化一貫体系の導入、JAによる共同育苗、排水対策などで作付け面積は平成28年の104haが令和元年に190haとなっている。販売額も県目標の1億円を突破し、4.2億円となっている。
山形県のJAおいしいもがみでは、平成15年の大冷害を契機に稲作依存からの脱却の機運が高まり、アスパラガス生産を伸ばしてきた。水稲とアスパラガスの複合経営体が約6割、アスパラガスを中心とした野菜専業農家が4割となった。
水田の汎用化と生産協議会による営農の共同化、畜産農家と連携したコントラクターによるたい肥散布による土づくりにも力を入れてきた。平成16年のアスパラガス作付け面積は8haだったが、令和元年には56haとなった。面積当たりの販売額は10a当たり約79万円となっている。
農水省は令和4年度予算の「時代を拓く園芸産地づくり支援事業」で水田を活用した新たな園芸産地の育成、まとまった面積での機械化一貫体系の導入、加工・業務用・輸出向け野菜の大規模契約栽培に取り組む産地の育成などを行うほか、果樹農業生産力増強総合対策などで果樹への取り組みも支援する。
野菜は労働時間が必要とするが、乗用管理機や収穫機などが普及しており、農水省はこうした機械導入支援にも力を入れる。
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