多面的機能交付金 生態系保全活動の義務化を 自然保護6団体が提言2022年4月19日
(公財)日本自然保護協会など自然保護6団体は4月15日、農業・農村の多面的機能交付金が多面的機能の発揮につながっているかどうかなど科学的根拠に基づいて評価する仕組みへ改善すべきことなど、提言をまとめた。
農業農村の多面的機能を維持・発揮させるための予算には、多面的機能支払や中山間地域等直接支払いなどがある。
連名で提言を出した自然保護6団体は、農水省が2020年11月に公表した「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」の点検・検証結果を問題にした。
提言では、多面的機能が適切に発揮されているとする点検結果について、評価の根拠となる客観的で定量的なデータが示されていないとして、年間1600億円の税金を投じる施策への評価は科学的な測定などの仕組みを導入するなど改善すべきとしている。
とくに生態系保全評価は補助金の受益者へのアンケートなど主観的な評価が多いとして、現場の生き物の状況や変化をもとに評価すべきだと提言している。
また、多面的機能支払制度を活用して素掘り水路からコンクリート水路に更新している例があることを指摘し、生物多様性を劣化させる支援を見直し、制度に生物多様性保全活動を義務化すべきと提言した。また、水路の更新を施行業者への外注している例も多く、「地域の共同活動の支援」という法制度の趣旨からも遠ざかってしまうとも指摘している。
地域の共同活動を支援する資源向上支払に対して、栃木県や滋賀県では生態系保全の取り組みを必ず実施することを義務づけている地域がある。
そのうえでみどり戦略を決定し2050年までに有機農業25%をめざすとしていることから、多面的機能支払制度も生態系保全活動への加算措置の見直しなど支援方法を改善すべきだと提起している。
今後に向けて、農業農村の多面的機能を今まで以上に発揮させていくよう制度の点検を行っていくうえでは、農業関係者との意見交換だけでなく、生物多様性に詳しい専門家、NGOも参画させるべきと提言している。
6団体は次のとおり。(公財)日本自然保護協会、(公財)日本野鳥の会、(公財)世界自然保護基金ジャパン、NPOラムサール・ネットワーク日本、NPOオリザネット、(一社)リアル・コンサベーション。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(159)-食料・農業・農村基本計画(1)-2025年9月13日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(76)【防除学習帖】第315回2025年9月13日
-
農薬の正しい使い方(49)【今さら聞けない営農情報】第315回2025年9月13日
-
【人事異動】JA全中(10月1日付)2025年9月12日
-
【注意報】野菜類、花き類、豆類にハスモンヨトウ 県内全域で多発のおそれ 兵庫県2025年9月12日
-
【注意報】果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政も思い切りやってほしかった 立憲民主党農林漁業再生本部顧問・篠原孝衆議院議員2025年9月12日
-
【石破首相退陣に思う】破られた新しい政治への期待 国民民主党 舟山康江参議院議員2025年9月12日
-
【石破退陣に思う】農政でも「らしさ」出しきれず 衆議院農水委員会委員・やはた愛衆議院議員(れいわ新選組)2025年9月12日
-
ドローン映像解析とロボットトラクタで実証実験 労働時間削減と効率化を確認 JA帯広かわにし2025年9月12日
-
スマート農業の実践と課題を共有 音更町で研修会に150名参加2025年9月12日
-
【地域を診る】個性を生かした地域づくり 長野県栄村・高橋彦芳元村長の実践から学ぶ 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年9月12日
-
(452)「決定疲れ」の中での選択【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年9月12日
-
秋の味覚「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2025年9月12日
-
「令和7年台風第15号」農業経営収入保険の支払い期限を延長 NOSAI全国連2025年9月12日
-
成長軌道の豆乳市場「豆乳の日」前に説明会を実施 日本豆乳協会2025年9月12日
-
スマート農園を社会実装「品川ソーシャルイノベーションアクセラレーター」に採択 OYASAI2025年9月12日
-
ご当地チューハイ「寶CRAFT」<大阪泉北レモン>新発売 宝酒造2025年9月12日
-
「卵フェスin池袋2025」食べ放題チケット最終販売開始 日本たまごかけごはん研究所2025年9月12日
-
「日本酒イベントカレンダー 2025年9月版」発表 日本酒造組合中央会2025年9月12日