食品産業 コスト増加の価格転嫁が課題 日本公庫調査2022年9月29日
日本政策金融公庫農林水産事業は9月26日、食品産業動向調査結果を公表した。景況は持ち直しの動きが続くが、コスト増加の価格転嫁が課題となっている。
調査は7月に実施した。上半期(1~6月)の食品産業の景況DIは、前回調査(令和3年下半期)から8.4ポイント上昇し▲0.8となった。持ち直しの動きが続いているが、下半期(7~12月)は3.1ポイント低下し▲3.9となる見込みで先行きは不透明となっている。
業種別景況DIは、製造業▲2.8、卸売業▲7.1、小売業▲14.5だが、マイナス幅は6.4~2.0縮小した。飲食業は前回から引き続きプラス25.0となった。
上半期の仕入価格DIは前回調査から20.9ポイント上昇し83.6となった。下半期は1.9ポイント上昇し85.5となる見通しだ。仕入れ価格の上昇が続くとの見方が強まっている。
上半期の販売数量DIは前回調査から12.3ポイント上昇し5.3となった。下半期は1.1ポイント上昇し6.4となる見通しだ。
上半期の販売価格DIは前回調査から27.4ポイント上昇し40.0となった。販売価格DIは2008年上半期に30となって以降、30を超えた調査結果はなく、今回は前回の12.6から一気に40.0へと上昇した。下半期はさらに上昇し53.2となる見込みだ。
国産農林水産物の今後の調達量について、「増加する」の回答割合をみると製造業では前回から4.3ポイント上昇し25.0%となった。飲食業(外食)では8.0ポイント上昇し19.8%となり、上昇幅がもっとも大きくなった。
原材料価格の高騰に対する対応を聞いたところ、「コスト増加分の全額には満たないが販売価格に転嫁(しようとしている)」が6割を超えた。「コスト増加分を全額販売価格に転嫁(しようとしている)」は約1割だった。
全額価格転嫁できない理由は、製造業、卸売業、飲食業(外食)で「原材料価格の上昇スピードに価格転嫁が追いつかない」が36.7%(飲食業)~54.6%(製造業)でもっとも高くなった。小売業では「同業者との横並びを基準に価格転嫁を決定」が40.4%でもっとも高くなった。
また、小売業と飲食業では「経営方針や戦略に値上げがそぐわない」、「自助努力でカバー」の回答割合が他業種に比べて高くなった。
コスト増加への対応策は、すべての業種で「歩留り・ロスの改善」、「仕入れ・調達以外のコストを削減」の回答割合が高くなった。
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