畜産・酪農 適正価格形成へ推進会議 農水省2023年4月28日
農林水産省は生産者、食品事業者、消費者等、国民各層の理解と支援のもとで生産コストを価格に反映しやすくするための環境整備を図るため4月28日、第1回畜産・酪農の適正な価格形成に向けた環境整備推進会議を開いた。
畜産物を安定供給するには生産・流通サイドのコスト削減努力も必要だが、再生産に意欲を持って取り組める価格で取引が行われる仕組みが必要となる。
このため農水省は同会議を開催し、生産や流通段階の状況や取り組みについて消費者の理解醸成を図るとともに、生産コスト等を適正に価格へ反映することができる仕組みについて検討する。
野村農相は同日の定例会見で「消費者の理解がないとできないから難しいが仕組みができれば農家も安心できる」として同会議での検討に期待した。
畜産は輸入飼料価格の上昇で厳しい経営状況にある。これまで令和4年度補正予算や予備費によって緊急的な対策を行い、農水省は3月28日に畜産・酪農緊急対策パッケージを公表した。また、飼料価格の高騰に対しては配合飼料価格安定制度などによって繰り返し財政的支援を行ってきた。
渡邉洋一畜産局長はあいさつで「この制度は激変緩和対策であり対応には限界がある」とし、一方畜産農家はコスト削減の努力をしてこの10年で肉用牛の枝肉重量が7%増加、乳用牛の1頭当たり乳量が11%上昇するなど「生産努力が相当程度なされている」と指摘した。ただし、飼料価格の反映は十分に進んでいない。
そのうえで渡邊局長は「資源の少ないわが国で高騰する輸入資源に大きく依存した生産方式は徐々に見直す必要があるが、すぐには難しいのも事実。こうした状況のなか畜産物を将来にわたって安定して供給する観点から、小売り、流通業や消費者に負担をいただくことになるが、飼料価格の高騰の影響などを適切に取引価格に反映することも必要だと考えている。 畜産・酪農の状況をよく理解いただき、安心・安全でおいしい世界一のわが国の畜産酪農品を次の世代も食べ続けられ、世界の消費者にも届けられるようにする観点から適切な価格形成のあり方について検討していただきたい」と述べた。
会合は3回程度開かれる予定。
【畜産・酪農の適正な価格形成に向けた環境整備推進会議委員】
氏田善宣(NPО法人居酒屋甲子園理事長)
浦郷由季(全国消費者団体連絡会事務局長)
江口法生(日本スーパーマーケット協会専務理事)
香川雅彦(日本養豚協会会長)
菊池淳志(中央酪農会議専務理事)
木村元治(全国食肉事業協同組合連合会専務理事)
近藤康二(中央畜産会専務理事)
齊藤良樹(全国農業協同組合連合会常務理事)
里井真由美(フードジャーナリスト)
鈴木稔(日本食鳥協会専務理事)
強谷雅彦(日本ハム・ソーセージ工業協同組合専務理事)
高橋裕子(消費科学センター事務局・企画運営委員)
中林正悦(全国肉用牛事業協同組合理事長)
沼田一政(日本乳業協会専務理事)
馬場利彦(全国農業協同組合中央会専務理事)
彦坂誠(日本養鶏協会理事)
平野路子(日本生活協同組合連合会政策企画室室長)
平野祐子(主婦連合会副会長)
廣川治(日本食肉卸売市場協会専務理事)
福田晋(九州大学副学長)
三石誠司(宮城大学食産業学群副学群長)
(五十音順、敬称略)
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