生乳価格に飼料価格変動分の反映など検討へ 適正価格に向けた農水会合2023年5月17日
農林水産省の「畜産・酪農の適正な価格形成に向けた環境整備推進会議」は第1回会合を4月28日開き、農水省から適正な価格形成に向けた課題と取り組み方針を説明、このなかで生乳の取引から生産コスト上昇分を価格に反映させる仕組みから検討する方針を示した。委員からは賛同する意見のほか、需給を考慮せず生産コストを反映させる需要が減退し在庫が積み上がるとの懸念も示された。意見を整理し近く第2回会合を開く。
会合で農水省は酪農の離農の現状について改めて説明した。
酪農家戸数は毎年2月1日時点の調査結果を7月に発表しており、昨年7月発表では前年比▲545戸の1万3300戸で▲4%だった。
その後、現状を把握するため指定団体に出荷している酪農家戸数から動向を分析すると23年2月時点では全国で▲816戸の1万1062戸で▲6.9%だった。北海道では▲4.4%だが、都府県では▲8.6%と例年に比べて減少率が拡大し離農が進んでいることがうかがわれた。
会合で農水省は適正な価格形成を進めるうえでは、価格の上昇に伴う買い控えなどで消費が減少することや、生産コストをの価格への反映に関する事業者間の合意形成が課題となることや、生産コスト上昇の背景や生産者の努力を消費者に知ってもらう情報発信も必要なことなどを挙げた。
とくに飼料価格高騰に伴う生産コスト増を「見える化」の検討も提起した。農水省は2008年の飼料価格高騰時に飼料価格の変化率を計算し、それを価格に反映させた場合の上昇額を生乳1リットル当たり6円上昇、豚ロース肉100グラム当たり12円上昇などと示していた。これを参考に検討する考えを示した。
そのうえで、まずは価格交渉で価格が決定している生乳取引について配合飼料価格の変動分を一定のルールに基づいて上乗せするような仕組みを検討できないかと提起した。
委員からは「基本は飼料の国産化だが時間がかかる。畜産経営を維持するためにはコスト高を価格反映する仕組みが喫緊の課題。コストのなかで最大のウェイトを占める飼料価格に焦点を絞ること、牛乳から議論を始めることに賛成」との意見の一方、「需給への考慮がなされていない。飼料価格を反映させると生産は増えるが需要は減退、在庫が積み上がることに。需給対策とセットにすべき」との指摘も出ている。
また「飼料価格だけでいいのか。物材費や人件費を含めた総合的な指標を活用できないか議論が必要」、「長期的な視点に立ち、コストが下がった際には自動的に価格が下げられるという反対の動きも示すべき」との意見も出た。
飼料価格の価格転嫁について燃油サーチャージ的な仕組み導入や、コスト反映のタイミングも論点として指摘されている。
一方、消費者側委員からは「価格反映の仕組みづくりは消費者も協力するが、持続可能な仕組みを作る必要がある。価格転嫁を進める場合、クーポン配布など、消費者負担を軽減する対策が必要」との意見が出されている。
牛肉と豚肉の価格は卸売市場で決まり、輸入品との競合もあり、生産コストを反映したものではないが、健全な畜産発展に向けて牛肉、豚肉について個別にワーキングチームを作って議論が必要だとの意見も出ている。
そのほか、トウモロコシの国際価格は半世紀以上、上昇傾向にあり、一時的な情勢に注目するのではなく「生産コストの上昇は長期的トレンドであるとの認識に立った視点で考える必要がある」との意見や「日本よりはるかに畜産物の生産量が多い米国では外食の価格は日本の4~5倍。日本は安価な輸入原材料に依存して良いものを作り安く提供し過ぎていた。裏を返せば日本の労働力を安売りしていたことも留意が必要」とも指摘された。
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