主食用の作付け意向 前年より「減少傾向」17県 1月末から5県増2023年6月9日
農林水産省は6月9日、2023年産米の作付け意向について4月末時点の調査結果を公表した。
主食用米の作付意向は、前年より「減少傾向」が17県、「前年並み」が30県、「増加傾向」はゼロだった。
1月末時点と比較して減少傾向が12県から17県に増加し、前年並みが35県から30県となった。増加傾向は引き続きゼロとなっている。
戦略作物では、前年より「増加傾向」が増えたのは、輸出用米など新市場開拓用米で18県から26県、WCS用稲で20県から33県、米粉用米で16県から21県となった。麦、大豆も「増加傾向」とする県がもっとも多くなっている。
一方、飼料用米については「減少傾向」とする県が10県から19県に増加した。
農水省が3月に策定した主食用米の需給見通しでは23年産米の適正生産量は669万tで22年産と同程度の作付転換が必要とされている。生産量が669万tの場合、見通しでは来年6月末の民間在庫量は適正在庫とされる180~186万tになるとされている。
直近の民間在庫量は昨年10月から前年比20万t程度減っており、4月末は219万tとなった。
今回の作付け意向調査を踏まえると、前年並みが30県、前年より減少傾向が17県となっており、平年作ならさらなる需給の改善も考えられる。
ただ、9日朝の自民党農業基本政策検討委員会の小野寺五典は「まだ(営農計画提出期限の)6月末ではない。最後の最後まで脇を締めていきたい」と強調した。
主食用以外への作付け転換の努力によって需給環境は改善し、4月の22年産米の相対取引価格は、全銘柄平均で前月比プラス3円の60㎏1万3880円となり、出回りからの年産平均価格は前年産プラス1058円の同1万3862円となった。
ただ、ナラシ対策は発動する状況にある。
農水省の試算では全国ベースでは10а当たり標準的収入額は12万3724円だが、3月までの米価で算出した当年産収入額は同11万3284円。
ナラシ対策は標準的収入額との差額の9割を補てんする制度。今回は10a当たり9396円が補てん額となる。
実際の補てん額は、地域ごとに定められた標準的収入額に基づき、麦や大豆など他のナラシ対象作目ごとの収入差額を合算相殺して算出する。
米だけの支払い見込み総額は198億円でこのうち国費が148億円。年産平均価格が60㎏1万2804円と下落した21年産では米のナラシ対策の支払い実績は397億円とだった。
農水省は各地域ごとに算出され次第、6月中を目途に個々の加入者に支払う予定。
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日