【基本法検証部会】価格の決定権なくコスト見合わない実情 消費者理解求める意見 九州意見交換会2023年7月19日
食料・農業・農村基本法見直しについて検討している農政審基本法検証部会の地方意見交換会が7月14日の熊本県熊本市で開かれた九州ブロック意見交換会を皮切りに始まった。8月8日まで全国11都市で開く。
意見交換会では農水省の担当者が「中間とりまとめ」の概要を説明した後、8人が意見を述べた。
熊本県大津町の集落営農法人・ネットワーク大津(株)は13集落の持株会で構成され、経営面積は米、麦、大豆で330ha。生産した飼料用米とWCSは自社工場で発酵TМRに加工して地域の畜産農家に供給し循環型農業を実践している。
社員は11人。作業員として122名を登録している。多様な人材を地域の担い手として考え、生涯現役で仕事ができる場をつくっている。
徳永浩二代表取締役社長は「地域社会は多様な担い手でしか守れない。地域の担い手として中心的な位置づけが必要」と述べるとともに、「地域政策型経営体」と「産業政策型経営体」の役割を区別し明確化すべきだと担い手の考え方を提起した。
熊本県の女性農業者が交流や勉強会を行うため今年2月に結成した「くまもと農業女史コミュニティー AguRokkca」の永井香織代表は、自分たちが行った農業の未来に関するワークショップでもっとも課題となったのは「収入の安定向上」だったことを紹介した。
具体的な課題として価格決定権がないこと、価格が生産コストに見合っていないこと、規格が厳しく規格外品が多くなることなどを挙げた。
対策としては適正価格を算出根拠を示す経営管理の平準化、規格の考え方の見直しなどを提起したほか、食料保存の活用による自給率向上や環境に配慮した農業への交付金も検討すべきだと話した。
鹿児島経済連の新村浩二農産事業部長は県内で耕畜連携について取り組み堆肥の活用を進めている。堆肥入り低コスト肥料は17アイテムまで拡大した。新村部長は肥料・飼料の国内での安定的な確保の仕組みが必要だと指摘したほか、生産コストを農畜産物価格に反映できる仕組みと消費者理解が必要だと訴えた。
福岡県土地改良事業団連合会の半田英彦専務は、食料情勢が不安定になるなか、農地の区画に拡大、水田の汎用化など基盤整備の重要性や、多面的機能支払いの重要性、必要性なども明記すべきと提起した。
イオン九州の地域・生産者支援チームマネージャーの福山博久氏は、適正な価格形成と有機農産物の販売拡大にもつながる持続可能な農業の主流化などが課題だとした。
雲仙市の金澤秀三郎市長は持続可能な農業経営に基盤整備は不可欠だとして国、県の支援が必要だと要望したほか、温泉などの地域資源を活用するなど他産業との連携で農業振興を図っていくことが重要だと話した。
九州経済連合会地域共創部の小浦直樹参事は職業として選ばれる「稼げる農業」の実現に向け官民一体で取り組みを強化することが必要だとし、地元就農だけでなくUターン、Iターン、外国人の就農促進、企業参入など多様な担い手の確保が重要だと提起した。
意見交換では農業への消費者理解と適正な価格形成をめぐって農産物の生産にかかる手間やコスト、価値について理解を広げる必要性が強調されたほか、経済の視点だけでなく、農業を文化、教育の視点で捉える施策の大切さなども指摘された。
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