集落機能強化加算 「当分の間、継続」江藤農相 対象は現行555組織 経過措置導入へ2024年11月29日
江藤拓農相は11月29日の閣議後会見で中山間地域直接支払交付金制度で交付されている「集落機能強化加算」を「当分の間、継続させる」と表明した。この加算を受けている555組織が対象となる見込み。継続させる期間は明らかにしなかった。25年度予算から集落機能強化加算を廃止してネットワーク化加算に見直す方針は変えない。
集落機能強化加算は2020年度から24年度までの第5期対策で新設された加算措置。集落の農業生産活動の維持のための外部人材の確保や移住促進といった営農に関わる活動のほか、集落機能を強化するためのコミュニティサロンの開設や高齢者の見回り、買い物支援などの活動の対象とした。
中山間地域直接支払いの交付を受けるための集落協定は2万3000あまりあり、このうち集落機能強化加算に取り組んだ集落協定は555。農水省はこの対策について「いわゆる生活支援サービス等の活動自体を目標にして取り組まれている」として、この加算が集落組織の強化や農業生産活動に継続につながったとはいえないなどの理由で、来年度予算概算要求ではこれを廃止し、集落どうしがネットワークを結びお互いの機能を補完し、農業生産活動を維持していくネットワーク加算を導入する方針を示した。
これに対して地域では営農と生活は一体であるにもかかわらず、生活支援をなくすものだとして自治体や専門家から批判が出ていた。全国町村会も20日の総会で決めた要望事項のなかで「営農活動と集落機能の維持は不可分であることから今後も継続すること」と強調した。
会見で江藤農相は「生活と産業(営農)は一体のもの。区分けすることはできない」との認識を示すとともに、555組織が取り組んでいる集落機能強化加算について「今のままでやりたいというのであればしばらくの間は継続させる」と表明した。農水省によると新規は認めないが、現行の取り組みについて「経過措置を設けることを検討することにした」という。
一方、江藤農相は「役所もやめると言い方はまずくて(ネットワーク加算)に移行するという説明が適当ではなかったかという反省がある」と話し、「私の理解ではネットワーク化加算にしたほうが有利だ」として今後、地域に説明していく考えを示した。
農水省によるとネットワーク化加算は人手が足りない集落が広域で連携して営農を守るために、たとえば作業を共同で行うなどで人材を確保する活動を支援するほか、集落協定以外の組織である自治会、社会福祉協議会、NPOなどと組んで草刈りをするなど活動も支援するという。ネットワーク化活動計画を作成すると基本的な交付単価の10割が交付される(体制整備単価)。
集落機能強化加算は地目にかかわらず10a当たり3000円だがネットワーク化加算は同1万円とする。
江藤農相は「人口が少なくなっていく現下の状況で遠隔地であってもネットワークを結んでともに集落を守っていこうという取り組みはあっていい」と話す。
一方、農水省は高齢者の見守りや、買い物支援などの活動を集落機能強化加算で支援したのは「取り組みの立ち上がりへの支援であり、体制構築後の恒常的な活動への支援は困難」との考えを示している。そもそも恒常的な支援を行うには市町村による財源確保などが必要だったが、それを示すことなく加算措置をしたと自らの課題を挙げている。ただ、「農村政策を軽視するもの」といった声は多く、将来の政策に懸念を抱く地域は少なくない。
江藤農相は「中山間地域の支援制度については私としては総合的なことを考えていこうと思っている」と述べた。
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