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農政:時論的随想 ―21世紀の農政にもの申す

(82)自給率向上は国民的要望~基本計画、議論の要~2014年3月5日

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【梶井 功 / 東京農工大学名誉教授】

・議論の焦点は担い手像か?
・効率的経営?逆さ議論排せ
・国民の要望に確実に応えよ

1月28日の食料・農業・農政審議会に食料・農業・農村基本計画の見直しが諮問され、同「計画」見直し論議が始まった。

◆議論の焦点は担い手像か?

 来年3月には答申をまとめる予定になっているが、本紙2月20日号の報ずるところでは、

 "審議会の冒頭、林農水相は、新たな基本計画は昨年末に政府が策定した「農林水産業・地域の活力創造プラン」で示した方向に基づき、農業を若い人たちが希望を持てるような産業に育て、美しい農山村を守っていけるような計画にしてほしい、と審議会委員らに要請した。"

という。「活力創造プラン」は、確かにその「4 今後の進め方」の真先に「1.食料・農業・農村基本計画の見直し」を掲げ、

 "今後、本プランにおいて示された基本方向を踏まえ...食料・農業・農村基本計画の見直しに着手することとする。見直しに当たっては、将来のビジョンとして、担い手となる効率的かつ安定的な農業経営の姿を具体的に示すとともに、望ましい農業構造の姿を明らかにする。"

と書かれていた。「プラン」が「基本計画」見直しに関して具体的に指示しているのはこれだけである。あとは"見直しの検討状況については、当本部においてフォローアップを行うこととする。"となっていた。
 農政審の議論は、"担い手となる効率的かつ安定的な農業経営の姿を具体的に示す"ことから始まるのだろうが、そんなことでいいのだろうか。

◆効率的経営?逆さ議論排せ

 "そんなことでいいのだろうか"というのは、私はそもそも"効率的かつ安定的な農業経営"というような経営が、政策的支援の裏付けなしにはあり得ない、と考えているからである。随分前に書いた文章だが、拙文の引用をお許し戴きたい。02年6月に出された「生産調整研究会中間とりまとめ」批判として書いた論文の中の文章である。

 "...このところ農政はよく「効率的かつ安定的な経営体」という言葉を使うが、「効率的」という言葉と「安定的」という言葉は「かつ」というような接続詞で結びつけられる言葉ではない。アメリカの農場経営の多くは確かに効率的経営であろう。しかし、そのアメリカの2002年農業法は、96年農業法がいったんは廃止した不足払いを、作付制限なしに、しかも96年農業法が新設した固定払いを残しながら、復活した。いまの国際価格では、アメリカの農場ですら経営不安定になるため"所得支持政策"を復活させたのである。効率的な経営体が安定的経営体であるためには、一定の価格条件が必要なのであり、市場がその条件を満たさないとすれば、効率的経営体の存続を図るためには、なんらかの"価格・所得支持政策"が必要なのである。「効率的かつ安定的経営体」というような言葉を使うこと自体、間違っているのであって、「研究会」にはまずこのへんの反省をしてもらう必要がある"。(拙著『WTO時代の食糧・農業問題』247ページ)

 安んじて農業生産に励めるような安定的持続的な価格・所得政策があってこそ、効率的な経営が育つのであって、逆ではないことを強調しておきたい。

◆国民の要望に確実に応えよ

 "所得倍増、担い手像、食料自給......基本計画見直し課題山積"―これは「基本計画」見直し着手を初めて報じた時の日本農業新聞(1月23日)の見出しである。たしかに"課題山積"である。が、その中で最も国民的関心が高いし、重要なのは10年後50%を目指して引き上げ政策を組んでいるはずなのに40%を切ってしまっている食料自給率をどうするかであろう。
 内閣府が2月21日までに発表した「食料の供給に関する特別世論調査」によると"将来の日本の食料供給について、国内生産と海外からの輸入を含めて聞いたところ、「非常に不安がある」が32%、「ある程度不安がある」との回答が51%を占め、合計で83%に達した"という(2月22日付日本農業新聞)。"同様の質問をした1990~2000年の調査では、2000年の78.4%が最も多かったが、今回それを上回った"ので、同紙は"食料供給に「不安あり」過去最高の8割に"をこの報道の見出しにしていた。"食料自給力向上のための取り組みについては、「必要」「どちらかというと必要」との回答が合計90%を占めた"という。食料自給率引き上げは、国民的要望になっているということである。
 1月28日の審議会の際、"審議会委員の萬歳章JA全中会長は農業政策はこの審議会の議論が主導すべきとの考え方を改めて強調し「審議会として活力創造プランについての考え方を整理する必要がある」と意見を述べた"という(2・10本紙)。内閣官房の意見に盲従はしないということであろう。賛成である。ぜひとも国民的要望に応える自給率引き上げを確実にする「基本計画」にしてもらいたいものである。

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