農政:TPP阻止へ! 現場から怒りの声
TPPと農協改革、その狙い、一体で捉えよう【生活クラブ連合会 加藤好一会長】2016年11月9日
【生活クラブ連合会 加藤好一会長】
TPPが国民生活とこの国の未来を損なう危険なものであることはここでは言いません。いま言いたいことは2つです。
1つは安倍政権がウソと詭弁に満ちた政権であること。2つめは米国追従ということ。
安倍政権は、嘘と詭弁で国民を愚弄しています。「嘘つかない、TPP断固反対、ブレない」といって成立したこの政権は嘘をつき通し、今や嘘とホントの区別がつかなくなっているのではないか。重要5品目をはじめとする国会決議は全く守られず、繰り返された嘘は枚挙にいとまがありません。山本農相はあのような失言を二度までしておきながら開き直っています。これらをもはや容認できず、断固抗議し、TPP批准を認めることはできません。
なぜそんなに民主主義を無視してまでTPP批准を急ぐのか。ここにいまの政権の致命的かつ決定的な問題が露呈していると思います。つまり米国追従です。安倍政権は米国優先の姿勢からパリ協定を投げ捨てTPPを擾先させた。また唯一の被爆国でありながら、国連では核禁止条約に反対したのも米国追従の表れでした。米国大統領選では2人の候補がともにTPPに反対しています。しかし、そのこと以上に重要なことは、新自由主義に対する疑念や拒否が米国民に、いや世界中に広がってきていることです。安倍政権は、このような世界の趨勢を見ずして、この国を対価なしで米国に売り渡そうとしていると思います。
◆農業攻撃の全体像見抜け
TPPの強行採決と合わせて考えておくべき問題があります。
私たち生活クラブも長年取り組んできた飼料用米への攻撃がついに始まったということ。さらに規制改革推進会議から生乳の指定団体制度への攻撃も露骨に始まりました。これも酪農家と牛乳工場を経営していることからとても座視できないことです。さらに全農改革の方向も示されました。
これらはそれぞれに対応しなければならないわけですが、TPPと農協改革、国の米政策からの撤退は一体のものだということを強調する必要があると考えています。
TPPひとつとっても大問題ですが、これらが一体となってつながって狙っているところは何かという認識を深める必要があります。TPPそれ自体についても多くの国民はその問題が分からない状態ではないかと思いますが、この一体となった農業、農協攻撃によってわれわれを連れて行こうとしている先に何があるのか、ということを考えなければなりません。 そのいちばんの中心は家族農業の解体だと思います。
TPPは関税撤廃だから日本農業が壊滅的になるということから反対をしてきましたが、その後、農業分野だけではなく国のかたちが変わるような大変な問題もあることはその通りであることも分かってきました。
しかし、ISD条項など大きな問題はあるにしても、やはりこの国にとって、より大勢の人が困るのは農業問題だということを言わざるを得ないと思います。しかも、それはTPP協定批准の問題ではなく、ありとあらゆるところから農業が攻撃されているという状況です。それが示しているのは、農産品は日本は全部輸入でいきなさい、産業としての農業は条件のいい農地で株式会社や大規模な経営者が担っていく、という方向が明確だということではないか。それが強行採決の日からの数日間で露骨なまでに示されたということだと思います。一連の問題を今こそ一体として捉える必要があります。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(173)食料・農業・農村基本計画(15)目標等の設定の考え方2025年12月20日 -
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(90)クロロニトリル【防除学習帖】第329回2025年12月20日 -
農薬の正しい使い方(63)除草剤の生理的選択性【今さら聞けない営農情報】第329回2025年12月20日 -
スーパーの米価 前週から10円上がり5kg4331円に 2週ぶりに価格上昇2025年12月19日 -
ナガエツルノゲイトウ防除、ドローンで鳥獣害対策 2025年農業技術10大ニュース(トピック1~5) 農水省2025年12月19日 -
ぶどう新品種「サニーハート」、海水から肥料原料を確保 2025年農業技術10大ニュース(トピック6~10) 農水省2025年12月19日 -
埼玉県幸手市とJA埼玉みずほ、JA全農が地域農業振興で協定締結2025年12月19日 -
国内最大級の園芸施設を設置 埼玉・幸手市で新規就農研修 全農2025年12月19日 -
【浜矩子が斬る! 日本経済】「経済関係に戦略性を持ち込むことなかれ」2025年12月19日 -
【農協時論】感性豊かに―知識プラス知恵 農的生活復権を 大日本報徳社社長 鷲山恭彦氏2025年12月19日 -
(466)なぜ多くのローカル・フードはローカリティ止まりなのか?【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年12月19日 -
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 19日から開催 JA全農2025年12月19日 -
α世代の半数以上が農業を体験 農業は「社会の役に立つ」 JA共済連が調査結果公表2025年12月19日 -
「農・食の魅力を伝える」JAインスタコンテスト グランプリは、JAなごやとJA帯広大正2025年12月19日 -
農薬出荷数量は0.6%増、農薬出荷金額は5.5%増 2025年農薬年度出荷実績 クロップライフジャパン2025年12月19日 -
国内最多収品種「北陸193号」の収量性をさらに高めた次世代イネ系統を開発 国際農研2025年12月19日 -
酪農副産物の新たな可能性を探る「蒜山地域酪農拠点再構築コンソーシアム」設立2025年12月19日 -
有機農業セミナー第3弾「いま注目の菌根菌とその仲間たち」開催 農文協2025年12月19日 -
東京の多彩な食の魅力発信 東京都公式サイト「GO TOKYO Gourmet」公開2025年12月19日 -
岩手県滝沢市に「マルチハイブリッドシステム」世界で初めて導入 やまびこ2025年12月19日


































