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農政:バイデン農政と日本への影響

【バイデン農政と日本への影響】第8回 新型コロナ対策の実績を誇示する農務省 ~ 中間選挙対策で強化された食料支援 エッセイスト 薄井 寛2021年5月26日

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米国では5月24日現在、新型コロナのワクチン接種率が高まり(18歳以上の一回目接種61.5%、二回完了49.8%)、新規感染者は急減した。本年1月初旬には感染者1日30万人、死者4000人を超えていたが、24日は感染者1万9866人、死者325人。ワクチン接種の効果は驚異的だ。

主な支援対象はミドルクラスと中小農家

農務省はいま、コロナ対策事業の実績を強調する。情報発信ツールはネット上でのプレスリリースだ。4月に公表した32本のうち、コロナ対策関連は13本。ほぼ2日に1回のペースである。

農務省のコロナ対策は大きく二つの分野に分かれる。農家へのコロナ禍救済と困窮世帯への食料支援。前者の主な救済策は次の事業だ。

(1) 中小農家を主たる対象とした救済策(約6500億円。コロナ禍で事業を悪化させたファーマーズ・マーケットなど、多様な直売事業に取り組む中小農家・有機農産物の生産者・新規参入農家・黒人など少数グループの農家に対する資金援助や、直売などの地域食料供給システムを支援する組織への補助)

(2) 穀物農家や畜産農家を主な対象にした20年度対策では十分な支援を受けられなかった、青果物などの生産農家に対する支援(食料支援用に調達される青果物の生産者や、食料配布のNGO組織へ乳製品を提供する酪農家に対する資金援助、繊維工場に対する国産綿花の使用奨励策など)

(3) 経営悪化の農家に対する特別措置(農務省から農業融資や農業倉庫建設融資を受けた農家に対する返済猶予と倒産農家の手続き延期。融資を受けた約13万戸の10%以上が対象)

もう一つのコロナ対策である困窮世帯への食料支援には、次のような事業が含まれる。

(1) 困窮世帯対象の補助的栄養支援計画(SNAP)の支援金増額(平均月100ドルの15%増、孤児・障害者・高齢者・ホームレスへの支援拡充、SNAPでネット購入可能な店舗やファーマーズ・マーケットの登録増、受給者の増加対策<2月の受給者は前年比14%増の4200万人>など。)

(2) 学校給食対策の強化(貧困世帯の児童・生徒に対する休校中および夏休み中の給食提供の増加)

(3) 食料支援団体への資金援助(米国産の農畜産物を配布するフードバンクや慈善団体に対する援助増額。支援団体の管理費や農務省の買上分を含め21年度総額は約1900億円)

この他、農村部でのワクチン接種支援のために人員不足の自治体へ職員を数百人規模で派遣するなど、農務省の情報発信には少しの"遠慮"もない。また、自らの活動を誇示する広報活動が同時に、新たな"受益者募集の案内"にもなっているのが最近の特徴だ。日本の役所にとっても学ぶところが少なくないように思える。

それでも伸びないバイデン支持率

さらに注目すべきは、農務省のコロナ対策に込められた政治的な狙いである。低所得層に加え、工場労働者や中小の家族経営農家を含むミドルクラス(注)が対策の重要な対象とされており、それはトランプ岩盤支持層の切り崩し策でもあるからだ。

(注)ピュー・リサーチ・センターによると、ミドルクラスの4人世帯の年収は5万2187ドルから15万6561ドル(2016年、約560万円~1690万円)。なお、農務省が推計する中位の農家総所得は年間8万3111ドル(2019年、約890万円、このうち兼業所得は83%、約740万円)。

50年前の1971年、米国の国民に占めるミドルクラスの割合は61%を超えていたが、2019年には51%。経済格差が拡大する過程で、不満を募らせる中間所得者の間にトランプ岩盤支持層が形成されてきたのだ。

コロナ禍でホームレスへ転落する白人が増えるなど、中間所得層をめぐる状況はいまも厳しさを増す。バイデン大統領はこの実態に狙いを定め、困窮するミドルクラスを食料支援の対象に加えて支持者を増やそうとしてきた。

4月28日の施政方針演説でも大統領は、「ウォール街がこの国をつくったのではない。この国をつくったのはミドルクラスだ」と強調し、中間所得層の復権を訴えた。だが、有権者のバイデン支持率はほとんど伸びていない(表参照)。

バイデン 米国 大統領の支持率 (20 21 年 1 /23 5/2 2

ギャラップ社の世論調査によると、4月は57%と3月より3%上がったが、1月の57%と同率だ。大統領就任100日目の支持率では、トランプの41%を上回るものの、オバマの65%、レーガンの67%を下回る。

共和党の支持基盤は揺らいでいない。22年11月の中間選挙に向けて開始されたトランプ前大統領の"逆襲"も、効果を発揮しているようだ。

バイデン農政への攻撃も激しくなってきた。黒人農家などに対する融資返済の免除は「白人排除の人種差別だ」と複数の白人農家が裁判に訴え、"バイデン増税"への警戒心をあおる情報発信も農業州で強められている。

民主・共和の両党にとって、中間選挙の重要性が増しているのだ。民主党が負ければ、一期目後半からバイデン大統領はレイムダック化し、再選も危なくなる。一方、巨額の財政出動を活用したトランプ岩盤支持層の切り崩しをバイデンに許すようなことになるなら、"トランプ党の共和党"は分裂しかねない。10月1日からの22年度開始に向け、両党の激突は本格化していく。

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