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特集:2015年年頭あいさつ

2015.01.01 
【2015 年頭所感】 西川 公也 氏 (農林水産大臣)一覧へ

 平成27年の年始にあたり、農林水産大臣から農業協同組合新聞・JAcomに寄せられた年頭のごあいさつを紹介します。

西川 公也 氏 (農林水産大臣) 明けましておめでとうございます。
 平成27年の輝かしい新春を迎え、皆様の御健勝をお祈りいたしますとともに、「攻めの農林水産業」の実行につき所感の一端を申し述べ、年頭の御挨拶とさせていただきます。

◇    ◇

 まずは、昨年発生しました大雪や台風、豪雨、火山の噴火等の自然災害により被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。全国各地において、農林水産関係の被害が生じており、一刻も早く復旧できるよう、今後とも、被災された農林漁業者の方々への支援に全力で取り組んでまいります。
 また、昨年末に、宮崎県において高病原性鳥インフルエンザの発生が確認され、スピード感をもって初動対応を行いました。引き続き、防疫対策を徹底してまいります。

◇    ◇

 さて、農林水産大臣に就任してから約4カ月が経ちましたが、私が繰り返し申し上げているのが、「農林漁業者の所得の向上」と「地域のにぎわい」の実現であります。
 これらの実現に向けて、私が立ち上げた「攻めの農林水産業実行本部」において、「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づく施策を推進する上での課題の把握や解決策の検討等を行い、施策を着実に実行します。また、現在、食料・農業・農村基本法に基づく「食料・農業・農村基本計画」の見直し作業を進めているところです。農政の中長期的なビジョンとして、施策の具体的な方向性、食料自給率目標や食料自給力の取扱い、農業構造の展望や具体的な経営発展の姿等について議論を進め、3月を目途に基本計画を策定してまいります。
 また、一昨年の「和食」のユネスコ無形文化遺産登録以来、国内外における日本食への関心が高まっている中、本年5月には、「地球に食料を、生命にエネルギーを」というテーマで、ミラノ万博が開催されます。この万博も、国内外の多くの方々に、知恵と技が凝縮された日本食・食文化の魅力を発信する絶好の機会であり、関係者一丸となって、ミラノ万博を是非とも成功させます。そして、2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会も視野に入れながら、日本食・食文化に対する理解の深化・普及を推進してまいります。

◇    ◇

 以下、農林水産行政の主な課題と取組の方針を申し述べます。

 第一に、「攻めの農林水産業」の実行であります。
 「攻めの農林水産業」の実行の大きな鍵となるのが、国内外の需要拡大であります。我が国の高品質な農林水産物・食品について、アジア諸国のみならず、より購買力の高い人口を擁する欧米も重視し、輸出を促進します。このため、品目別輸出団体の設立によるオールジャパンでの取組や、輸出検査の利便性向上、動植物検疫協議の戦略的実施等を進めてまいります。
 輸出の拡大に当たっては、各国で日本の農林水産物・食品に魅力を感じていただくことが重要です。昨年十月には、在外公館に日本産新米を提供しましたが、こうした各国への理解増進を図る取組も併せて展開してまいります。
 国内においても、地域エネルギーや先端技術を活用した次世代施設園芸による生産・流通の高度化を図るとともに、ライフスタイルの変化に対応した加工・業務用野菜の生産や、高齢化等に伴い需要が拡大している介護食品の開発や薬用作物の産地化等の医福食農連携等を推進し、国産農林水産物の新たな市場を開拓いたします。また、家畜・農作物に対する防疫等により、食の安全と消費者の信頼の確保に努めつつ、国民への食料の安定供給を図ってまいります。

 農業の競争力強化を図る取組として、農地中間管理機構の本格稼働による担い手への農地の集積・集約化や農地の大区画化等の基盤整備を行ってまいります。また、経営所得安定対策や日本型直接支払のほか、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の本作化による水田フル活用や、米の生産調整の見直しを含む米政策の改革を着実に実施します。
 特に、平成26年産米の米価下落への緊急対策として、農林漁業セーフティネット資金の融資の円滑化や実質無利子化等による当面の資金繰り対策や、米穀機構による米の売り急ぎ防止対策等を講じるとともに、経済対策として、稲作農業の体質強化に向けた生産コスト低減の取組への支援等も盛りこんだところです。今後とも安心して営農に取り組んでいただけるよう、万全の対応を取ってまいります。
 また、農協・農業委員会・農業生産法人の見直しについては、農家の所得を増やし、農村のにぎわいを取り戻すために避けて通れないものであり、昨年六月の政府・与党の取りまとめを踏まえて検討を進め、本年の通常国会に関連法案を提出いたします。
 さらに、生産性の飛躍的向上が期待されるロボット技術の導入や、畜産・酪農の収益性向上、耕作放棄地を活用した肉用牛放牧を推進いたします。

 農山漁村のにぎわいを実現させるためには、農林漁業者の所得の向上のみならず、地域における雇用の確保等が重要であります。このため、農林漁業者が主体となって取り組む六次産業化を推進するとともに、農村地域工業等導入促進法の活用等による周辺産業の取り込みを進めてまいります。また、集落間ネットワークの形成による地域コミュニティ機能の維持や地域ぐるみでの鳥獣被害対策、都市と農山漁村の交流等も併せて推進してまいります。

 なお、これに関連し、昨年、農協系統からは、農業所得の増大や地域活性化等に向けた総合的な1000億円規模の支援の創設が発表されたところです。

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 第二に、経済連携への対応であります。
 経済連携は、国際的な経済活動の基盤となるものであり、我が国の農林水産業への影響や食の安全の確保等に配慮しながら戦略的に進めてまいります。特に、環太平洋パートナーシップ協定交渉については、早期妥結に向けて着実に進展している中、引き続き、衆参両院の農林水産委員会決議が守られたとの評価を頂けるよう、政府一体となって全力で交渉を行ってまいります。

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 第三に、森林・林業政策の推進であります。
 戦後造成された人工林が本格的な利用期を迎える中で、CLTと呼ばれる直交集成板等の新たな木材製品や木質バイオマスのエネルギー利用等の新たな木材需要を創出し、施業集約化や人材の確保・育成等を通じてその需要に対応できる国産材の安定供給体制を構築することにより、林業の成長産業化を実現し、山村地域に雇用と所得を創出します。
 また、地球温暖化や自然災害等に対応するためにも、適切な森林の整備・保全等により、森林吸収源対策と「緑の国土強靭化」を推進してまいります。

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 第四は、水産政策の推進であります。
 漁業者の所得の向上を図るため、「浜の活力再生プラン」の策定による構造改革を推進します。その上で、資源管理の推進や担い手・漁船漁業の体質強化、燃油高騰対策のほか省コスト型の生産体系への移行、六次産業化・輸出等の出口戦略を推進し、収益性の高い持続可能な漁業・養殖業を展開してまいります。
 また、小笠原諸島周辺海域でのサンゴ密漁など外国漁船による違法操業に対して、大幅に引き上げられた罰金等により取締りを強化するとともに、太平洋クロマグロやニホンウナギについては、国際的な資源管理の強化に向けて、リーダーシップをとって対応してまいります。
 さらに、捕鯨については、国際司法裁判所の判決を踏まえ、新たな調査計画に基づく鯨類捕獲調査を実施し、商業捕鯨の再開を目指してまいります。

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 第五に、東日本大震災からの復旧・復興であります。
 東日本大震災からの復旧・復興については、大臣就任早々、宮城県・福島県で、農地の大区画化や大規模いちご団地等の単なる復旧にとどまらない先進的な取組を視察し、大変頼もしく思いましたが、一方で、原発事故による課題も依然として多く、風評被害対策や輸入規制の緩和・撤廃、販路回復の支援等に全力で取り組んでまいります。

 以上、年頭に当たり、今後の政策展開を中心に私の所感の一端を申し述べました。

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 全国各地には、元気に営農に取り組んでおられる素晴らしい生産者の方々が多数いらっしゃいます。皆様の取組に触れる度に、私は、我が国の農林水産業には大きな潜在力があるという思いを強くしております。本年は、現場の方々が国内だけではなく、世界を舞台に羽ばたき、そしてこの潜在力を形あるものにしていく、大いに飛躍ある一年にしてまいりたいと考えております。
 念ずれば花開く。
 私が陣頭指揮を取り、現場の皆様と共に、我が国の農林水産業を盛り上げてまいります。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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