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農政:JAは地域の生命線 国の力は地方にあり 農業新時代は協同の力で

【JA改革の本質を探る】JAの信用事業分離はなぜ問題か 農業から離れ、解体の道へ(下)2016年9月23日

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失う総合事業性農業振興に暗雲
福間莞爾
総合JA研究会主宰

◆郵政民営化は"他山の石"

 一般に企業にとって、ファイナンスは最大の経営課題である。世界のトヨタ自動車も資金繰りに窮して倒産の危機に陥った苦い経験から、「必要な時に必要な資金を」を社是とし、トヨタ銀行と言われる国内最大の13兆円の内部留保を持つ。トマ・ピケテイは、話題を呼んだ『21世紀の資本』において、「経済成長率よりも資本収益率が勝る」という大命題を証明した。低経済成長のもとでの格差是正の経済政策に示唆を与えるものであるが、他方でストックの重要性を指摘していると受け止めることができる。
 ストックの重要性は、個人のレベルでも、貯金を多く持っている人の家計は安定している。JAでいえば、経済事業はフロー、信用・共済事業はストックの世界である。JAは、信用・共済事業を兼営することで経営の安定性を保っている。今や信用事業はマイナス金利で厳しい、だから兼営はやめた方がいいというまことしやかな議論は事態を見誤る。金利の変動は循環要因であって構造的な要因ではない。
 以上は一般論であるが、JAから信用事業が分離されたらJAにどのような影響が及ぶのか。信用事業は、JA経営にとって営農・経済事業などの赤字を補てんするとともに、経営体にとって必要な血液の役割(資金繰り機能)を果たしている。そして、何よりも、組合員にとって必要な営農資金を供給する重要な機能を持つ。
 事業譲渡の結果もたらされる決定的なことは、譲渡された信用事業分野における経営権が資産・負債・資本とともにJAから農林中金へ移行することであり、別な言い方をすれば、「Plan・Do・See」の主宰権がJAから農林中金に移ることを意味する。この結果は、JAに二つのことをもたらす。一つは、JAの組織運営がボトムアップからトップダウンの経営に転換すると同時に、総合事業体として機能してきた組合員の組織活動と事業活動、事業間の連携・連動というJAの得意技を失うことであり、二つはこの分野が農協法の制約を受けなくなることである(農林中金に事業譲渡の場合)。
 農林中金を本店とする上意下達の事業のやり方は、株式会社においては、むしろ一般的な方法であり、その方が効率的という意見もあろうが、このやり方は競争相手の株式会社形態の都銀・地銀等が一枚も二枚も上手であり、JAは協同活動で組合員の願いを実現するという、自らのコアコンピタンス(中核能力)を放棄しては勝ち目がない。それに、何よりも事業譲渡により地域=農業を離れて、農業振興という大義名分をなくしたJA信用事業は生き残っていくことはできない。
 JAの信用事業を全国一つの金融機関と見なすJAバンクシステムは、JA が「Plan・Do・See」の起点となることで初めて協同組合としての特性・優位性を発揮できる。本格的な事業譲渡は初めてのことであり、正確にその影響を予測することは難しい。だが、郵便配達(JAでいえば経済事業)のついでに貯金・簡保を集めるという、JAに似たビジネスモデルを持つ郵政事業は、事業分割によってJA全体の貯金量に匹敵する90兆円(35%減)もの貯金を失った。話し半分としても、JAによって濃淡はあろうが全体としてみれば、譲渡による事業の停滞・減少によって代理店手数料は減額され、JA信用事業は合理化を迫られ、農業振興どころではなくなるだろう。

◆信用事業分離ありきの政策

 もともと今回のJA改革は、農業振興の停滞・不振の責任をJAに一方的に押しつけるという発想のもとに行われている。誤った認識のもとに行われる対策は、農業およびJAに悲劇的な結末をもたらす。事業譲渡による信用事業分離で農業振興に回す経費(現状では全国で1000億円を超える営農指導の経費が、主に信用・共済の収益で賄われている)が失われるばかりか、経営そのものがおかしくなる。
 一般に事業譲渡は、譲渡する側が余程の窮地に陥るか、余程の利益を得るかの場合に限られる。JAの信用事業譲渡はこのいずれにも該当せず、ただ信用事業分離のための政策意図のもとに行われようとしている。そもそも今回の農協法改正は、協同組合は遅れた不効率な組織であり、農業振興の妨げになっているという協同組合蔑視の誤った価値判断に基づいているとしか思えない。農業振興は一人農業者・農家だけの努力では難しく、准組合員・信用事業の協力を得て初めて可能なことを国民世論に訴えて行くべきであろう。

・農業から離れ、解体の道へ (上) (下)

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