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農政:農業復興元年 揺らぐ食料安保 激化する食料争奪戦

【農業復興元年】国際情勢と食料安保 外交評論家・孫崎享氏 経済力つけ増える食料輸入国2023年2月15日

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農水省の政策審議会基本法検証部会の検討などと絡め我が国の食料安全保障にも関心が高まっている。そこで元外交官で国際問題に詳しい外交評論家の孫崎享氏に「国際情勢と食料安保」をテーマに寄稿してもらった。

ウクライナ問題で依存の怖さに直面

1:食料安保の概念

外交評論家・孫崎享氏 外交評論家・孫崎享氏

食料安全保障という言葉は、これまでもしばしば使用されてきました。外務省も、「食料は人間の生命の維持に欠くことができないものであるだけでなく、健康で充実した生活の基礎として重要なものです。したがって、国民に対して、食料の安定供給を確保することは、国の基本的な責務です。世界的な人口増加等による食料需要の増大、気候変動による生産減少など、国内外の様々な要因によって食料供給に影響を及ぼす可能性があり、食料の安定供給に対する不安も高まっています。このため、不測の事態に備え、日頃からそうした要因の影響等を分析、評価するとともに、不測の事態が生じた場合の具体的な対応手順の整備等を進めておくことが重要です。こうした取り組みを通じて、総合的な食料安全保障の確立を図っていきます」と述べてきました。しかし石油などのエネルギー問題と異なり、多くの人は食料の安全保障を真剣に考えるべき問題ととらえてきませんでした。

2:ウクライナ問題

しかし、ウクライナ問題で情勢は一気に変わりました。

ウクライナは穀物の主要生産国です。「ウクライナ穀物協会」によると、2021年の生産量はおよそ1億600万㌧でしたが、去年はロシアによる軍事侵攻の影響で、およそ6700万㌧に減少、今年はこれをさらに下回り、2023年の穀物と油用種子の生産量について、およそ5000万㌧になると推計されています。

穀物の生産量だけではなく、軍事侵攻後、黒海に面する南部オデーサの港をロシアが封鎖したことなどにより輸出が停滞し、その後、国連とトルコの仲介で輸出が再開していますが、協会によると今季の穀物と油用の種子の輸出量はおよそ3000万㌧に留まっているとされています。

こうした状況から、ロシアのウクライナ侵攻が始まるや、世界の穀物供給量は不足し、価格は高騰し、世界中で食料安全保障が認識されました。

軍事支援の空気不透明

2022 年 4 月 5 日の時点で、ロシア、ベラルーシ、ハンガリー、セルビア、トルコ、北マケドニア、エジプトを含む 11 カ国が、小麦、小麦粉、大麦、ライ麦、トウモロコシ、油糧種子から、レンズ豆、ソラマメ、パスタに至る食料品の禁輸を行いました。

二つの主要な油糧種子生産国が輸出制限を実施しました。アルゼンチンは、大豆かすと油の輸出税を 31% から 33% に引き上げました。インドネシアは、加工業者が国内市場に配分する必要があるパーム油生産の最低割合を 20% から 30% に引き上げ、事実上輸出を制限しました。アルゼンチンは通常、世界の取引される大豆かすと大豆油の 40% 以上を供給しインドネシアは世界のパーム油輸出の半分以上を占めているため、これらの措置は植物油と大豆かす市場に大きな影響を与えました。

こうして、ウクライナ戦争は、食料が自由に輸出入されるわけではないことを示しました。

ウクライナ、ロシア共に穀物の一大輸出国であるため、戦争が継続すれば、世界の食料の不安定な状況は続きます。ではこの戦争はいつまで続き、どのような形で決着を迎えるのでしょうか。

うごめく米国戦略

ウクライナ戦争は、ウクライナの国土で、ウクライナ兵とロシア兵が戦う戦争です。しかし実態は、米軍兵器対ロシア軍の戦いと言っていいでしょう。ロシア軍の侵攻前に米国はすでに対戦車、対ヘリコプター・爆撃機ミサイルをウクライナに提供し、ロシア軍のウクライナの首都への侵攻を阻止しました。この構図は変わりません。

問題は米国がどこまで量・質両面でウクライナへの軍事支援を続けるかです。

米国はできるだけ戦争を長期化させ、①ロシアを疲弊させ、プーチン体制を崩壊させる②欧州諸国を米国の戦略に組み込み、彼らの国防費を増大させ、米国の武器の輸出を図るというものです。対立軸を作り、関係国を米国戦略に一段と組み込み、彼らの国防費を増大させ、米軍の兵器を買わせる構図は、台湾問題と日本の関係と共通しています。

ただ、こうした流れが変化し、米国の国防省筋、および一般国民から武器輸出の抑制を求める動きが出てきました。ロシアは敗北する事態に追い込まれた時はウクライナの首都等に核兵器を使用する意思を固めたようです。仮にロシアが核兵器を使用すると、米ロ双方の核兵器採用までエスカレートする可能性があります。ミリー統合参謀本部議長は部内の会合で、現状での終戦(ロシアが東部2州を掌握)を主張しています。

さらに戦争の長期化で、米国国内でのウクライナへの支援の空気が弱体化しています。昨年の米国中間選挙で共和党が下院を制しました。下院は予算の先議権を持ちます。現在共和党はウクライナへの軍事支援を削減する方針を出しています。(表参照)

米国世論調査(PEW)「対ウクライナ支援」

こうしてみると、今次ウクライナ戦争でロシアが負ける可能性は少なく、ウクライナ東部をロシアに与えることを認める形で終局する可能性が高いと思います。

中国自給率低下も注視

3:経済構造の変化

近年非G7の経済大国の相対的地位が拡大しています。

米国の情報機関CIAは{World Factbook}というサイトを持ち、購買力平価ベースで各国のGDP(国内総生産)を示していますが、この数字を利用した表は次の通りです(表2参照)。

 G7と非G7GDP比較(単位兆ドル)購買力平価

人口の大きい非G7諸国が経済力を向上させるにつれ、食料の需要を大幅に拡大していきます。

中国の事情をブログ「Record China」の記事「中国の食料輸入が過去最高を更新」(2022年1月)を見てみます。

「中国メディアの第一財経は、中国の食料輸入量が過去最高を記録し、食料自給率が低下し続けていると報じた。

2021年1~12月の中国の輸入食料(穀物・大豆・芋類)数量が1億6453・9万㌧と前年同期比で18・1%増加し、中国国内の食料生産量の24・1%に相当したと紹介。中でも大豆の輸入は9651万8000㌧と前年同期比では3・8%低下したものの、同時期の中国国内生産は1640万㌧にとどまっており、輸入依存度が85・5%に達したとしています。

21年1~11月の穀物(トウモロコシ、コウリャン、大麦、小麦、水稲など)輸入量も20年1年間の輸入量をすでに上回り、約100~240%となっていることを紹介しました。

その上で、中国は04年より農作物の輸出国から輸入国へと転換しており、特に09年以降は輸入が輸出を上回る貿易赤字が拡大し続け、20年には947億7000万㌦に達したと指摘。輸入量の増加に伴い食料の自給率は低下傾向にある。大豆の自給率は60・2%から17%に減少し、全体的な食料自給率も20年間で100%前後から76%前後にまで落ち込んだと伝えました。

こうした変化はインド、インドネシア、ブラジルなどでも生じていくとみられ、その分、世界の食料事情の逼迫(ひっぱく)要因になっていくとみられます。

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