水田雑草対策で新たな「共創」が始動 バイエルとウォーターセル2023年11月16日
水田一枚ごとに異なる雑草を防除するため、単剤の最適な散布で効果の発揮をめざす「水田雑草テーラーメイド防除」を昨年発表したバイエルクロップサイエンスは11月15日、スマホ上でほ場管理などができる営農支援ツール「アグリノート」を開発、運営しているウォーターセルとの事業戦略発表会を東京都内で開いた。
右から坂田社長、渡辺社長、片岡氏、仁木理人カスタマーマーケティング本部長
両社は5月に連携と協業に向け基本合意書を締結し、各地のほ場で協業の試験を実施してきた。
水田雑草テーラーメイド防除は約300ほ場、90haで試験を行い、雑草の種類に合わせた単剤の選択と最適な散布タイミングの提案などで22年と比べて約70%の薬量削減を実現したという。
このテーラーメイド防除を行うためのほ場診断や処方提案を行うツール「my防除」には延べ106軒が登録しており、作付面積で約4000haだという。登録農家の70%が15ha以上で管理すべき水田枚数も多い。
一方、アグリノートは開発から11年。2万1000組織で利用されている。航空写真マップをもとにほ場を可視化し、作業記録や栽培状況など記録することができる。
このふたつのツールを組み合わせ水田雑草テーラーメイド防除をほ場ごとに管理できる。急激に進む大規模化で管理すべきほ場が増えるなか、生産性向上と環境負荷の低減をめざす有効なツールとした期待される。
パネルディスカッション形式で行われた戦略発表会には、両システムを利用する茨城県の農業生産法人ソメノグリーンファームの片岡孝介取締役農場長が出席。140haで米、麦、大豆を栽培している。非農家出身も含め社員が6人いる。
「今まで農作業は勘や経験に頼り、人に説明することが難しかったが、画面でデータを共有することで必要な作業の根拠を示すことができる。社員のレベルアップにも時間短縮にもなる」と話す。
また、さらに規模拡大が見込まれるなか、データを共有することによってより専門的な組織に肥培管理の一部を「外注できる可能性もある」と指摘し、それによって収量や品質向上にもつながっていくと期待した。
ウォーターセルの渡辺拓也代表取締役社長は「データ活用のポイントは共有することによって農作業の振り返りだけでなく、GAPや今後必要になるカーボンクレジットの申請などにも活用できる」などと話したほか、ほ場ごとに経営の観点からPDCAサイクルを回せること、さらに付加価値のある農産物の提供も視野に「サプライチェーン全体で営農データを活用していきたい」と強調した。
バイエルクロップサイエンスの坂田耕平代表取締役社長は「共創は重要なキーワード。今は市場に新しい価値を提示していく段階」とし生産者の立場で課題解決に役立つ技術を共創で提供する姿勢を強調した。
「my防除」と「アグリノート」それぞれでこの連携システムを利用できる。24年産の作業が始まる来年2月~3月に利用できるよう準備を進めるという。
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