農薬:防除学習帖
野菜の病害防除8【防除学習帖】第54回2020年6月5日
7.さび病
(1)病原菌
ア.菌種
病原菌(Puccinia)は、担子菌類に属する糸状菌(かび)である。
一般的にさび病と言えば、Puccinia菌が起こす橙黄色でやや隆起した小斑点を生じる病害を指すことが多い。
同じくさび病と呼ばれる病害に、Alubugo macrospora(べん毛菌類)が引き起こすアブラナ科野菜さび病があるが、これはPuccinia菌とは生態も使用できる薬剤も全く異なるので、この項では除外して紹介する。
イ.病徴
ネギの場合、葉や花梗に発生し、発病初期には楕円形から紡錘形の少し盛り上がった斑点を生じる。その後、斑点の中央部が割れて橙黄色で粉状の夏胞子が飛散する。他の作物でも同様の症状を示す。
春と秋に発生する。多雨状態で多く発生し、肥切れしたり、草勢が衰えている時に発生しやすい。
ウ.被害
葉に発生した病斑により、光合成阻害や葉の活力低下をまねき、生育不良、収量の低下を引き起こす。また、ネギなどの作物では、葉部での発病は著しく品質を下げ、商品価値を無くす。
(2)生活環
夏胞子層と冬胞子層を形成し、冬胞子層が被害植物体上で越冬し、翌年春の第一次伝染源となる。夏胞子層は、大量の胞子を生成し、風や作業者の衣服への付着などによって運ばれ伝染する。
(3)防除法
ア.耕種的防除
1.草勢が衰えないように肥切れに注意する。
2.胞子を拡散させないようにするため、早期発見を心がけ、病斑を見つけたらできるだけ速やかに取り除く。
イ.化学的防除
1.効果のある有効成分
主要な効果のある有効成分は以下のとおり。
効率的に防除するには、予防効果のある薬剤の定期散布を基本とし、病害が発生したら、発生初期のまだ病害が少ないうちに治療効果のある薬剤を使用して徹底防除を行うとよい。
「病害蔓延後に使用しても効果が期待できる治療剤は無い」と考え、早め早めの予防剤あるいは治療剤に予防剤が混合された剤によるローテーション散布が最も重要である。
治療剤については、耐性菌の発生が認められている薬剤もあるので、念のため、指導機関に発生状況を確認し、指導をあおぐようにする。
ネギなど表面がツルツルして薬液がつきにくい作物では、付着をよくする展着剤を加用するとよい。
3.作物別有効薬剤
さび病(アブラナ科さび病を除く)に登録のある農薬の使用方法、適用作物を別表に示したので参考にしてほしい。
表は選択する際の参考となるよう最小限の情報のみを記載しているので、実際の使用にあたっては、事前に農薬ラベルをよく確認して使用してほしい。
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