農薬:防除学習帖
トマト病害虫雑草防除のネタ帳 不完全菌類の防除⑦【防除学習帖】第179回2022年12月3日
現在、防除学習帖では病原菌の種類別にその生態や防除法を紹介しており、現在、不完全菌類の病害を紹介している。
1.トマト褐色輪紋病の発生生態と被害
病原菌は不完全菌類に属する Corynespora cassicola という糸状菌(かび)であり、主に葉に発生するが、茎や顎にも発生する。病斑は、はじめ黄色のハローを伴う褐色小斑点を形成し、次第に拡大して径5~10mm前後の褐色輪紋状の病斑となる。病斑の裏面には、黒っぽいかびが生じる。
発生が進むと、激しい場合は下葉から枯れ上がり、減収を伴う。果実では、発生初期は黒い小斑点を生じ、次第にややへこんだ径5mm前後の黒色円形で中心部が茶褐色~白色の病斑を生じて商品価値を無くし、収量・品質を大きく低下させる。
病原菌が付着した被害残渣や農業用資材が、第一次伝染源となって、病斑上に形成された分生胞子の飛散によって蔓延する。生育適温は28~30℃と高温であり、高温多湿条件での発生が多く、樹勢が衰えると病勢がさらに拡大する。
2.防除対策
(1)耕種的防除法
多湿が要因となって発病が多くなるので、できるだけ湿度を下げた栽培を心がける。また、樹勢が落ちると発生が多くなるので、樹勢が衰えないように栽培管理を徹底する。
①樹勢が衰えないように、適正な栽培管理に気をつける。特に窒素肥料不足が病勢拡大の要因になるので、適正施肥を徹底する。
②次作の発生源となる被害茎葉を施設内に残さないように徹底する。
③分生胞子を拡散させないようにするため、早期発見を心がけ、病斑を見つけたらできるだけ速やかに取り除く。
④風通しを良くして、灌水や排水に注意して、過湿にならないようにする。敷きワラ、マルチを行って、土壌からの湿気の飛散を防ぐ。
⑤種子伝染するので、無病の種子、苗の利用を徹底する。
(2)化学的防除
本病に登録のある農薬は、ダコニール1000のみである。基本的に、葉かび病や灰色かび病防除剤に本病に効果のある有効成分が多いので、それらの病害との同時防除を狙って防除するとよい。
本病も発生が多くなると、防除が難しくなるので、発生初期の防除を徹底する。
以下、葉かび病および灰色かび病に有効な有効成分を紹介するが、必ずしも褐色輪紋病への効果を保証するものではないが、登録農薬であるTPN剤の他は、QoI剤やDMI剤、グアニジン剤などが葉かび病や灰色かび病との同時防除によって発病抑制効果が期待できると考えられる。
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】豆類、野菜類、花き類にタバコガ類 府内全域で多発のおそれ 京都府2025年8月26日
-
【注意報】黒大豆・小豆に吸実性カメムシ類 府内全域で多発のおそれ 京都府2025年8月26日
-
【注意報】ネギ、ブロッコリー、ダイズにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2025年8月26日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 平坦地域で多発のおそれ 奈良県2025年8月26日
-
AIは7年産米相場動向予測になんと答えるのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年8月26日
-
米価 2週連続で上昇 5kg3804円2025年8月26日
-
人気のフルーツが合体「ふる~じょんグミ」新発売 JA全農2025年8月26日
-
パックごはん全商品を値上げ JA全農ラドファ2025年8月26日
-
GREEN×EXPOにアフリカから30か国が参加表明、4カ国と公式参加契約調印 国際園芸博覧会協会2025年8月26日
-
国産小麦の高品質化に役立つ新たな育種素材開発に成功 農研機構2025年8月26日
-
冷たいメニューなど季節商品 猛暑で好評 外食産業市場動向調査7月度 日本フードサービス協会2025年8月26日
-
発がん性のある有機フッ素化合物「PFAS」学習会を開催 生活クラブ2025年8月26日
-
日本生協連とコープデリ連合会「MSCジャパン・アワード2025」コミュニケーション部門を受賞2025年8月26日
-
鳥インフル リトアニアからの家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年8月26日
-
人と人とがささえあい、安心して暮らせる未来へ「2025年度こくみん共済coop地域貢献助成」募集2025年8月26日
-
岡山県高梁市「びほく産高級ぶどうが当たる!」プレゼントキャンペーン実施中2025年8月26日
-
2つのシンが揃った「シンおむすび二刀流、発表。」 ファミリーマート2025年8月26日
-
【注意報】シロイチモジヨトウ 全道で多発に注意 北海道2025年8月25日
-
【JAの安心・安全な24年産米調査】25年産主食用 作付増加傾向(1)2025年8月25日
-
【JAの安心・安全な24年産米調査】25年産 飼料用米の作付け減少(2)2025年8月25日