農薬:防除学習帖
トマト防除暦の作成44【防除学習帖】第178回2022年12月3日
現在、防除学習帖では病原菌の種類別にその生態や防除法を紹介しており、現在、不完全菌類の病害を紹介している。
1.トマト褐色輪紋病の発生生態と被害
病原菌は不完全菌類に属する Corynespora cassicola という糸状菌(かび)であり、主に葉に発生するが、茎や顎にも発生する。病斑は、はじめ黄色のハローを伴う褐色小斑点を形成し、次第に拡大して径5~10mm前後の褐色輪紋状の病斑となる。病斑の裏面には、黒っぽいかびが生じる。
発生が進むと、激しい場合は下葉から枯れ上がり、減収を伴う。果実では、発生初期は黒い小斑点を生じ、次第にややへこんだ径5mm前後の黒色円形で中心部が茶褐色~白色の病斑を生じて商品価値を無くし、収量・品質を大きく低下させる。
病原菌が付着した被害残渣や農業用資材が、第一次伝染源となって、病斑上に形成された分生胞子の飛散によって蔓延する。生育適温は28~30℃と高温であり、高温多湿条件での発生が多く、樹勢が衰えると病勢がさらに拡大する。
2.防除対策
(1)耕種的防除法
多湿が要因となって発病が多くなるので、できるだけ湿度を下げた栽培を心がける。また、樹勢が落ちると発生が多くなるので、樹勢が衰えないように栽培管理を徹底する。
①樹勢が衰えないように、適正な栽培管理に気をつける。特に窒素肥料不足が病勢拡大の要因になるので、適正施肥を徹底する。
②次作の発生源となる被害茎葉を施設内に残さないように徹底する。
③分生胞子を拡散させないようにするため、早期発見を心がけ、病斑を見つけたらできるだけ速やかに取り除く。
④風通しを良くして、灌水や排水に注意して、過湿にならないようにする。敷きワラ、マルチを行って、土壌からの湿気の飛散を防ぐ。
⑤種子伝染するので、無病の種子、苗の利用を徹底する。
(2)化学的防除
本病に登録のある農薬は、ダコニール1000のみである。基本的に、葉かび病や灰色かび病防除剤に本病に効果のある有効成分が多いので、それらの病害との同時防除を狙って防除するとよい。
本病も発生が多くなると、防除が難しくなるので、発生初期の防除を徹底する。
以下、葉かび病および灰色かび病に有効な有効成分を紹介するが、必ずしも褐色輪紋病への効果を保証するものではないが、登録農薬であるTPN剤の他は、QoI剤やDMI剤、グアニジン剤などが葉かび病や灰色かび病との同時防除によって発病抑制効果が期待できると考えられる。
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