AI活用で「越波」検知の技術を特許出願 日本気象協会2020年12月11日
日本気象協会とArithmer(株)は、カメラ画像をAIで分析し、台風や低気圧の接近や通過に伴い高波が道路の護岸を越え「越波(えっぱ)」の発生有無をリアルタイムで確認、検知できる技術を開発し、9月10日に特許庁へ共同出願した。
カメラ画像から越波を検知する従来の手法は、越波の有無を判定するための基準線をあらかじめ設定するなど、地点ごとに複雑な設定を行う必要があった。今回開発した技術は、初期設定を行うことなく、カメラ画像のみで波の侵入を検知・判定できるためより速やかに、かつ容易に運用を開始できる。
今回、特許を出願した技術は、道路監視カメラの画像から越波の発生をAIが自動検知。カメラ画像から道路、走行車両、護岸と護岸にうちあげる高波を抽出し、それらを組合せて解析することで、高波が道路にかかる状況を自動的に検知する技術で、各要素の抽出には深層学習(DeepLearning)を用いている。
海岸沿いの道路では、台風や低気圧の接近や通過に伴い高波が道路の護岸を越え(越波)、車両の走行が危険な状態になるため、道路管理者は越波の発生を速やかに検知し、巡回・監視の強化と通行規制などの対策をとる必要がある。越波の発生については、監視員が現地で目視確認することで、道路へのしぶきや波のかかり具合を詳細に把握し、最適な道路管理を行っているが、現地での確認は監視員が被災するリスクもある。安全・安心な走行環境を確保しながら、監視員や監視車両の安全性を高めるうえで、越波監視の効率化や高度化が強く求められている。今回、共同で特許出願した技術を用いることで、監視カメラ映像から越波の有無をAIで自動判別し、越波が発生した際にアラートを発信する等の対応が可能となる。
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