惣菜は「おいしさ」を求めて利用する時代へ「えがおの食生活研究」キユーピー2021年6月10日
キユーピーは、20~70代の既婚女性約1500人を対象に食生活調査「えがおの食生活研究」を実施。調査からは食事の準備に対する女性の負担感が読み取れ、調理スキルの低下と食生活満足度の低下の関連性も示された。一方、惣菜の利用は、「手軽だから買う」から「おいしいから買う」時代へと変化を見せた。
惣菜の利用シーン(左)・総合的食生活満足度の推移
「えがおの食生活研究」は、食生活の実態や傾向をつかむことを目的に、キユーピーが1989年から毎年実施してきた食生活の総合調査。2020年度は、食卓の中心を担う「主婦」を対象に調査が行われ、同じく主婦を対象にした2016年度、2013年度の食生活総合調査と照らし合わせて変化を分析した。
調査によると、「惣菜の利用シーン」(複数回答可)について、「作るのが面倒なとき・作る気力がわかないとき」(59.2%)の回答が最も多く、次いで「作る時間がないとき」(51.3%)と、惣菜の「手軽さ」を支持する回答が多く見られた。一方、「おいしいものが食べたいとき」(25.5%)が2016年に比べ13.4%高い結果となり、惣菜の利用シーンが「手軽さ」だけでなく、「おいしさ」を求める場面にも広がってきていることがうかがえる。
「できる調理法」(複数回答可)については、2016年に比べ、全ての項目で「できる」と回答した割合が低下。とりわけ「野菜のあく抜きや鍋物のあく取りなどをする」(34.1%)と「調味料や香辛料を料理に合わせて使いこなしている」(18.5%)が、2016年に比べて2桁、低下した。
また、簡単調理の事例を挙げて「手作りだと思うか」の問いでは、ほとんどの料理で「手作りだと思う」割合が高まった。一方、「手抜きに罪悪感を感じる料理」の問いでもほとんどの項目で「罪悪感を感じる」割合が高まった。これは2016年度の調査と同様の結果で、簡単調理を手作りと認めながらも、食生活に対する"理想"や"求めるレベル"は変わらない実態がうかがえる。
さらに「総合的食生活満足度」では、5段階のうち「まあ満足している」(49.9%)割合が年々低下し、「どちらともいえない」(35.1%)が増えた。「できる調理法」の数で比較すると、できる調理法が多いほど食生活満足度は高く、できる調理法が少ないほど食生活満足度が低い傾向にあり、調理スキルの低下が食生活満足度の低下を招いている可能性が示された。
また今回の調査では、「笑顔の食卓」に対する意識を分析することで、20~74歳の既婚女性を5つのタイプに分類。「頑張るジレンマタイプ」「共創スマートタイプ」「愛情手間暇タイプ」「そこそこ割り切りタイプ」「自分ファーストタイプ」とそれぞれに名前を付け、価値観や食生活の満足度、年代や構成比など、特徴を明らかにした。
◎「笑顔の食卓」に対する意識から5つのタイプに分類
(1)頑張るジレンマタイプ
人並みに見られたいが調理スキルが低いため、ギャップに悩みつつ頑張っている。まずは家族が食べてくれることがボーダーライン。家族との時間を楽しみつつも、自分の時間を優先できた時にうれしさを感じる。20~30代の若年層に多い。
(2)共創スマートタイプ
調理に手間暇をかけるよりも、食卓で家族と過ごすことが好き。調理も得意で、応用が利く。やりくりを工夫して食事を作れた時にもうれしさを感じる。各年代に分散。
(3)愛情手間暇タイプ
調理スキル、調理への向上心が高い。手間暇をかけることが信条。目新しいメニューへの関心もある。品数の多さや贅沢なメニューを作れた時にうれしさを感じる。家族奉仕への意識が高い。60~70代、専業主婦に多い。
(4)そこそこ割り切りタイプ
献立を考えることが面倒で、食卓に多くは望まない。毎日の調理を無難にこなすのがモットー。家族との時間や共食を大切にしながら、惣菜や加工食品をうまく取り入れてやりくりすることにもうれしさを感じる。一番のボリュームゾーン。40代に多い。
(5)自分ファーストタイプ
家族のために献立を考えることがストレス。時短・省手間を重視して、惣菜・冷凍食品を積極的に使う。共創共食にうれしさを感じる割合は低く、各々で好きな時に好きなものを食べられることにうれしさを感じる。50~60代、子どものいないタイプに多い。
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