迅速な災害対応へ AIで浸水被害をリアルタイムに地図に再現 スペクティ2021年7月27日
防災テックベンチャーの株式会社Spectee(東京都千代田区)は、河川が氾濫した際にSNSに投稿された画像からAIを活用してリアルタイムに浸水推定図を作成する技術を開発。7月に発生した複数の浸水被害について、実用検証を行った結果、河川氾濫の発生から数分で浸水被害の範囲をシミュレーションできることが実証された。
令和2年7月豪雨時の熊本県球磨川周辺のリアルタイム浸水推定図
台風や線状降水帯による集中豪雨など、近年多発する水災害で、災害発生時に被害状況をいち早く把握することは喫緊の課題。同社は、AIを活用したデジタルツイン技術をもとに、河川の氾濫直後にほぼリアルタイムに浸水範囲と浸水深を推定し、2Dと3Dのマップ上に再現する技術を開発している。
この技術は、SNSの画像1枚からでも、降水量と地形データを組み合わせることで、浸水範囲及び周辺地域の浸水深の推定でき、投稿地点から10キロメートル四方の浸水の状況を瞬時にマップ上に再現する。また、SNSの画像だけでなく、道路や河川に設置されたカメラ等からの画像・映像の情報からでも利用可能。災害発生時に様々なデバイスやソースから得られる情報をもとに、その周辺地域の被害状況をわかりやすく可視化し、被害が進行した場合の予想最大被害範囲など、浸水による被害を多角的に可視化することが可能となる。
同社は、この技術を通じて、自治体や企業での災害対応の迅速化し、周辺地域や住民への被害の最小化に役立てることをめざしている。同技術を通じて得られる各地点における詳細な緯度経度情報や浸水深(推定値)などのデータを提供しており、学術研究や企業の実証実験など使うことができる。
また、同社が提供するAI防災・危機管理情報ソリューション「Spectee Pro」では、SNSからの投稿や気象データ、停電や交通状況など100以上のカテゴリーで、災害・緊急情報をリアルタイムに配信しており、無料トライアルも受け付けている。
神奈川県平塚市周辺のリアルタイム浸水推定図(2021年7月3日)
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