農水産物の産地イメージ調査 ねぎといえば「群馬県」メロンは「北海道」2021年12月20日
11月から官公庁や自治体向けの新たなコンサルティングサービスを始めたCCCマーケティング総合研究所は、その一環として「農水産物の産地イメージに関する調査」を実施。農水産物の都道府県別の産出額と生活者意識を比較することで、産出額に比べて生活者の産地イメージが高い都道府県の農水産物や、その逆に産出額は大きいが、生活者の産地イメージが低い都道府県の農水産物が明らかになった。
同調査は、3月22日~29日の期間、全国47都道府県の20~60代の男女9143人にインターネットで実施。2019年度「生産農業所得統計」(農林水産省)の主要な農水産物から産出額の高いものを中心に44品目を対象に調査が行われ、その中から「有名な産地が複数ある」かつ「有名な産地が東西区分に分布している」農水産物の例として「ねぎ」(玉ねぎを除く)と「メロン」についての結果を発表した。
生活者が最も思い浮かべる産地イメージ "ねぎ"は「群馬県」、"メロン"は「北海道」
同調査では、「ねぎと言えば、〇〇県?」と聞いた結果、「群馬県」と答えた人が19.6%でトップ。続いて「埼玉県」 19.0%、「京都府」 13.1%という結果だった。また、「メロンと言えば、○○県?」と聞くと、「北海道」と答えた人が55.3%。続いて「茨城県」16.3%、「静岡県」7.2%という結果となった。
ねぎの上位3府県には、有名な銘柄が存在しており、群馬県には「下仁田ねぎ」、埼玉県は「深谷ねぎ」、京都府は「九条ねぎ」など、すぐに思い浮かべられる産品ブランドが多かった地域がイメージとして挙げられたと考えられる。同様に、メロン上位の北海道では、「夕張メロン」「富良野メロン」「らいでんメロン」、茨城県では「アンデスメロン」「イバラキング」など数多くの種類を生産。静岡県は「一木一果」と呼ばれる方法で栽培される「クラウンメロン」などが有名。産地イメージ上位の産品ブランドには、産地の地域名がブランド名に入っていることが多く、生活者の産地イメージにも影響を与えていると考えられる。
東日本と西日本で異なる"ねぎ"の産地イメージ。"メロン"は東西共通の結果
全国47都道府県を東日本、西日本に分けて、それぞれの在住者別に産地イメージをみた結果、東日本在住者は「ねぎ」と言えば、「埼玉県」と答えた方が29.5%と最も多く、続いて、「群馬県」 24.8%、「京都府」 6.8%という結果。また、西日本在住者では、「京都府」 20.3%、「群馬県」 13.7%、「埼玉県」 7.0%の順となっており、「ねぎ」は東と西に分けると順位が全国順位と入れ替わるという現象が起きた。一方、「メロン」は全国・東西区分共に同じ都道府県が並ぶ結果となっており、全国的に共通の産地認識を生活者が持っていると言えそうだ。
「ねぎ」について全国を8つの地域に分けて細かく分析した地域別の結果では、中国地方を除いて、各地域の上位3位までの都道府県は、順位は異なるが、「群馬県」「埼玉県」「京都府」で占めた。3府県別にみると「群馬県」は、全国すべての地域別ランクで2位以上を確保しており、全国的にねぎと言えば群馬県の認識が生活者にあると言えそうだ。また、「埼玉県」は、中部以北では2位以上を確保しているが、近畿以西では3位以下。「京都府」は、西日本全域で1位を確保しているが、東日本においては3位となり、産地エリアによる影響力は、東西エリアで異なる傾向がみられる。
産出額と生活者の産地イメージ比較
"ねぎ"のイメージ1位「群馬県」の産出額は全国7位。産出額と直結しない産地イメージ
産地イメージと実際の産出額を比較すると、産出額が産地イメージに直結していない。ねぎの産地イメージ(全国)1位の「群馬県」は、産出額としては全国7位となっており、産出額に比べて生活者の産地イメージが顕著に高く、産品ブランディングに成功していることがわかる。また、前述の東日本・西日本在住者別や8つの地域別の分析結果でも上位3位までに「群馬県」は位置しており、全国的かつ平均的に「群馬県=ねぎの産地」という認識の定着が浸透していることが伺える。
一方、ねぎの産出額からみると、産出額が最も高いのは「千葉県」だが、産地イメージ(全国)では4位。千葉県はねぎの産品ブランディングに可能性が感じられる結果となった。メロンでも同様に産出額と産地イメージのギャップがあり、産地イメージ1位の「北海道」のメロン産出額は3位であり、産出額2位の「熊本県」の産地イメージは5位という結果になった。
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