環境へのこだわりを星の数で「見える化」 おむすび店などでPR 農水省の実証広がる2023年5月1日
温室効果ガス削減が農業分野でも求められる中、生産者の環境負荷低減の努力を「見える化」する農水省の実証が広がっている。生産者が環境に配慮してつくった農産物の温室効果ガスの削減率を3段階の星の数で示して消費者の選択につなげてもらう試み。認証を受けた米を使ったおむすび店を展開する会社は「おいしさに加えて、環境にこだわった取り組みを伝えることができることは意義がある」と話す。農水省は4月から品目を拡大してPRしている。
店頭のポスター(左側)。温室効果ガス削減に取り組む農家のコメを使っていることをPR
「温室効果ガス削減で星3つをいただきました」。横浜市の東急綱島駅に隣接する「おむすび権米衛」エトモ綱島店。店頭に貼られた生産者の写真入りのポスターが買い物客の目を引いている。
農水省が、温室効果ガス削減の効果を分かりやすく消費者に伝えようと、削減率に応じて3段階の星の数で示して「見える化」した取り組み。首都圏や近畿圏を中心にスーパーなどの店頭や農産物に表示されている。
この実証事業は昨年度から米、トマト、キュウリの3品目でスタートした。生産者の栽培データを同省の算定シートに照らし合わせて温室効果ガスの削減率を計算し、一つ星は5%以上、二つ星は10%以上、三つ星は20%以上の削減を達成したことを示している。
同店で使用されているのは、秋田県の農業法人「米道(まいど)ふたつい」がつくる特別栽培米のあきたこまち。化学農薬・化学肥料の使用を最小限に抑えているうえ、中干し期間を延長してメタン削減にも取り組んでいる。温室効果ガスを20%以上減らして栽培されたことを示す星3つの評価を受けた。
「おむすび権米衛」を展開する「イワイ」は、もともと「米の消費拡大を通じて日本の農業に貢献する」との理念から店を展開し、当初から減農薬減化学肥料の米を使い続けてきたという。しかし、おいしいとの声はあっても環境面の取り組みは伝えきれていなかったと話す。
同社商品本部副本部長の長田沙規子さんは「環境との調和をはかりながら、持続的に行う環境保全型農業によるお米を増やすことで、田んぼを維持・再生し、未来の子どもたちが幸せで食料に困らない生活を送ることにもつながります。星3つが描かれたポスターを通してそうしたこともお客さまに伝えたいと思います」と話す。訪れる客から、ポスターに気付いて「こんな取り組みもしていたんですね」とスタッフが声をかけられることもあるという。
米をつくる生産者も「見える化」を歓迎する。「米道ふたつい」の桜田善仁代表は「これまで生産現場のこだわりや価値観が消費者になかなか伝わらなかった。生産者としてもやりがいを感じられる取り組みだ」と語る。現在、「米道ふたつい」の米は7店舗で扱われている。イワイは、今後、ほかの生産者にも認証を取得してもらい、ほかの店舗にも取り組みを広げていきたいとしている。
対象は23品目に拡大 今年度中にガイドライン策定へ
農水省の「見える化」の実証は、「みどりの食料システム戦略」に基づく取り組みの一環で、温室効果ガスの削減を分かりやすく情報発信することで、消費者が環境にやさしい農産物を選択できる環境を整えようとスタートした。これまでに参加したスーパーやおむすび店などの店舗は27事業者、116か所に上ったという。
同省は、これまで3品目だった対象品目にナスやキャベツ、ダイコンなどを加えて23品目に拡大し、実証を続けることにしている。これまでに参加した店舗で消費者のラベル表示への印象や今後の購入意欲などのアンケートを行ってデータを収集しており、さらに効果的な表示方法を検討する。今年度中にガイドラインを策定して本格運用を進めることにしている。
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