農産物の長期常温保存・輸送技術のタベテク 経産省の起業家育成プログラムで海外派遣2023年9月27日
常温でも薬剤を使わずに農作物を長期保存するプラズマ殺菌装置「PLASMABOX」を提供する株式会社タベテク(東京都千代田区)は9月21日、経済産業省が主催する起業家育成・海外派遣プログラム「J-StarX(ジェイ・スターエックス)」のシンガポール・インドネシアコース参加企業として採択された。
プラズマオゾン技術を活用して開発した箱型装置
同社はフードロスの課題解決に向け、九州大学発の技術を用いて事業化を進めており、九大が持つプラズマ殺菌技術を用いて、薬剤処理不要を行わずに農産物を長期間常温保存できる装置を開発した。
代表取締役の田苗眞代氏は、この技術を農作物の保存技術が不十分な海外で展開する構想のもと、1月にトルコのハタイ県でレモンやハーコット等の果実を対象に実証実験を実施。3か月後には、薬剤処理をした果実のほとんどが腐敗していたが、一方でプラズマ処理を施したものは外観も味も維持されるという結果が得られた。この技術を生かしたグローバル展開を視野に、現在はトルコからの青果輸出に向け、準備を進めている。
プラズマ処理を施したみかん
常温下で3週間保存したみかん
このほど、同社の派遣が決定した「J-StarX」は、経済産業省主催、デロイトトーマツベンチャーサポートの運営で、日本から世界で輝くイノベーターを輩出することを目的として実施されるプログラム。「シンガポール・インドネシアコース」においては、派遣候補企業として採択された40社の中から、プログラム期間中に英語ピッチ審査を経て20社の海外派遣が決まった。
東南アジアでのスタートアップエコシステムをリードするシンガポールと、ユニコーン輩出数などでシンガポールに迫るインドネシアで、現地スタートアップ/ベンチャーキャピタル訪問、メンタリング、フィールドスタディ、ピッチなどを行うとともに、東南アジア地域への将来的な事業展開を見据え、先端的な現地エコシステムとのネットワーク構築などが予定されている。
同社は将来的にトルコ産の柑橘類を東南アジアに輸出することを視野に入れ、これから11月24日まで実施される同プロジェクトの活動に従事する。
◎プラズマオゾン技術と装置の特徴
・殺菌剤による洗浄、乾燥、防腐剤による処理が不要
・常温で長期保存に効果があり高額な冷却装置が不要
・腐敗した果実の液だれ等がなく管理に掛かる手間を大幅に削減
・家庭用電源で使用でき電気代は月100円程度
・装置の年間レンタル料が11万円と安価
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日