10月の食品値上げ 第三のビールなど「酒類・飲料」最多 一部は値下げも 帝国データバンク2023年10月2日
帝国データバンクは9月29日、「食品主要195社」の価格改定動向について調査・分析の結果を発表した。10月の値上げは、「第三のビール」など4634品目。3か月連続で前年同月を下回り、一部値下げもある。「酒類・飲料」は、年内最多の3194品目が値上げとなり、「原材料」はオリーブオイルなどで値上げ顕著となっている。
主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした10月の飲食料品値上げは4634品目となった。酒税引き上げが影響した第三のビールや発泡酒、日本酒など酒類・飲料が約7割を占めたほか、ハム・ソーセージなど加工食品やアイス・氷菓類、チョコレート菓子など再値上げとなった食品もあり、単月としては年内で3番目、2022年以降では4番目に多い水準となった。
2023年の食品べ上げ品目数
一方、10月としては過去最大級だった前年の7864品目に比べて3230品目減・6割の水準にとどまり、3か月連続で前年同月を下回った。ほぼ全ての食品が一斉に値上げされた2022年10月当時に比べ、値上げされた食品分野の構成に大きな変化はなかったが、「値下げ(実質を含む)」が10月に約800品目発生するなど、品目によって対応が分かれた。また、調味料ではマヨネーズ類やだし製品などのまとまった値上げが見送られたことも、全体の値上げ品目減少に影響した。
2023年通年の値上げ品目数は、すでに実施されたものや今後予定するものを含め、累計で3万1887品目。年間累計としては2022年の水準(2万6237品目)を大きく上回り、バブル崩壊以降で類を見ない記録的な値上げラッシュとなった。一方、急激に値上がりした前年の原材料価格の上昇分について一定の価格転嫁ができた企業が増えていることから、値上げの勢いは2023年後半にかけて後退傾向にある。そのため、値上げは10月を一旦のピークとして2023年末にかけて小康状態が続くと想定され、当初の年間予想(3万5000品目)をやや下回る3万2000品目台にとどまるとみられる。
「原材料」はオリーブオイルなどで値上げ顕著
2023年の食品値上げ 主な分野
2023年10月の値上げは、「酒類・飲料」(3194品目)が年内最多。全食品分野で最も多かったが、前年同月に比べると8割の水準にとどまった。「加工食品」(890品目)や「調味料」(209品目)なども、前年同月に比べて大幅に減少した。
一方、「菓子」(173品目)と「原材料」(118品目)、「乳製品」(50品目)の3分野はいずれも前年同月を上回った。菓子では、輸入小麦粉や生乳、粗糖、チョコレートなど原材料高の影響を受けて再値上げとなった製品が多くみられた。「原材料」では、熱波や干ばつなど生産国の天候不順による影響を受けたゴマ製品やオリーブオイル製品の値上げが顕著にみられた。
2023年の値上げ 原因別
足元ではディスカウントストアやプライベートブランド(PB)に消費者が移行する「低価格志向」が強まるなど、消費者の「値上げ疲れ」「買い控え」が表面化してきた。こうしたなか、限定的ながら一部PB製品で値下げが実施されるほか、NB品でも缶生ビールを中心に約800品目が値下げされるなど、値上げが中心だった2022年以降の価格戦略に比べると異なる部分も出てきた。
食品メーカーでも値上げ後に売れ行きが伸び悩むケースがあるほか、原材料価格の一服感、値上げ浸透による収益改善なども加わり、値上げ機運は年初に比べて足踏み局面に突入したとみられる。
今後は、1ドル140円台後半の円安水準長期化により、国際相場で下落した食用油など輸入食材では値下がりの恩恵を受けにくくなる可能性がある。物流費や包装資材の価格高騰が続くほか、高止まりが続く電気・ガス代、原材料では国産海苔の不作など食品価格が安定化するためのプラス要因は見当たらず、2024年以降も断続的に値上げが続く可能性が出ている。
重要な記事
最新の記事
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日
-
深作農園「日本でいちばん大切にしたい会社」で「審査委員会特別賞」受賞2025年9月18日
-
果実のフードロス削減と農家支援「キリン 氷結mottainai キウイのたまご」セブン‐イレブン限定で新発売2025年9月18日
-
グローバル・インフラ・マネジメントからシリーズB資金調達 AGRIST2025年9月18日
-
利用者が講師に オンラインで「手前みそお披露目会」開催 パルシステム東京2025年9月18日
-
福島県に「コメリハード&グリーン船引店」10月1日に新規開店2025年9月18日