パルシステム生消協「第35回通常総会」開催 東大・鈴木宣弘教授が講演2024年3月12日
パルシステムの産直産地の生産者と生協組合員でつくるパルシステム生産者・消費者協議会は3月6日、「第35回通常総会」を東京・千代田区の有楽町朝日ホールで開催。続いて開かれたフォーラムでは、東京大学大学院の鈴木宣弘教授が講演し、食料と農業の重要性について理解を深めた。
パルシステム生消協の「第35回通常総会」
総会では、産直産地の生産者や組合員、パルシステムグループ役職員など325人が出席し、2023年度の報告、2024年度活動方針及び組織規約改定の3議案が賛成多数で承認された。質疑応答では、パルシステムの独自基準で化学合成農薬や化学肥料の使用を削減した「エコ・チャレンジ」達成の苦労や、予算の適切な執行などについて意見が上がった。
小川保代表幹事(茨城県・JAつくば市谷田部)は、「昨年度は、前半までコロナウイルス感染防止の影響が残るなかでもオンラインの活用などで交流を図ってきた。今後は『交流』と『参加』の意義を再確認し、活動を分かち合う仲間づくりを進めたい」とあいさつ。また、来賓として参加したパルシステム連合会の大信政一理事長は「食料・農業・農村基本法が20年ぶりに改正されることを受け、パルシステムでは産直を続ける消費者の立場から、持続可能な農業に必要な政策を提言します。生産者と消費者が手を取り合い、未来につなげていきましょう」と述べた。
同じく来賓のパルシステム協力会の安田昌樹会長(北海道漁業協同組合連合会)は「農林水産業に従事する人口が減少していますが、第一次産業の重要性を発信していくことが重要。人がつながり、助け合う生消協の存在意義にあらためて期待します」と語った。
「地域農業を守ることこそが安全保障」と語る東京大学大学院の鈴木宣弘教授
総会後は、フォーラム「食の未来へつなげるために生産者と消費者ができること」が開催。東京大学大学院の鈴木宣弘教授による講演では、日本の食料自給率の低さに触れ「海外からの物流が停止したら世界で最も餓死者が出るとの試算も出ている。輸入途絶と消費者の潮流から有機・自然栽培の方向性を視野に入れなければならない。地域農業を守ることこそが安全保障です」と警鐘を鳴らした。
出席した生産者に向けては「食料危機と深刻な農業危機が同時に到来するリスクが高まり、農の価値がさらに高まる時代が来ている。輸入に依存せず、国内資源で安全・高品質な食料を供給できる循環農業を目指すことが、子どもたちの未来を守る最大の希望ではないか。今でも世界10位の農業生産額を達成している日本の農家はまさに精鋭といえる」と激励した。
また、「安全で安心できる食品を食べることで、自然環境や健康を大切にする生産者を応援することができる。小さな選択を積み重ね、日本の食と農と命を守ることにつなげましょう」と消費者としてできることを提起した。
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