流通:食は医力
【シリーズ・食は医力】第52回 精神の安定2013年6月26日
・夫源病って?
・楽しい食事で心身の健康を
・精白度低い穀物食が効果的
「夫源病(ふげんびょう)」という言葉を聞いたことありますか。私は本屋さんの店頭で知りました。『奥さん、それは「夫源病」です』という本がたまたま目に入ったのです(石蔵文信著、静山社文庫、714円)。
本の帯には「夫よ、すべてはあなたが元凶です!」とあります。何の元凶か?「いつまでたっても更年期が終わらない・・」とあるので、奥さんが精神的に苦しんでいるのは夫のせいだ、という本だとわかりました。
この手の本は普通は敬遠するのですが、著者が大阪樟蔭女子大学教授で循環器系の医師、そして男性更年期外来も担当とあったし、内容もまともらしかったので買い求めました。
◆夫源病って?
「中年女性の危機」「高齢女性の危機」といった章見出しからは女性中心の本のようですが、実はその陰に常に夫ありで、「夫婦病」と言ってもいいくらいの話が続きます。夫の言動(というより存在そのもの)が陰に陽に妻のストレスを高じさせているのです。
サラリーマンが定年前後に抱えるストレスが奥様に影響を及ぼす実例がたくさん登場しますけれど、兼業農家のみならず専業農家にとっても他人事ではないように感じました。
更年期夫の多くはわがままで、しょっちゅうイライラし、怒鳴り、引きこもり、妻につきまとって自立できない。自分で自分のことができない。「飯はまだか」「今日の夜飯はなんだ」とうるさい割に、奥様のせっかくの料理にケチをつける。
◆楽しい食事で心身の健康を
かくして最高潮に達した夫婦の危機をどう乗り越えるか。乗り越えた幸せな実例もたくさん紹介されています。
この本で指摘される症状としては、更年期障害、自律神経失調症、うつ病などがあり、「主人在宅ストレス症候群」(!)が重要なテーマになっています。
ところで体質が陽性の人は怒りやすい、カッとしやすいとよく言われますが、ならば草食系の陰性体質ならいいかといえばそんなに単純ではない。
実際、無口で不機嫌というのも夫源病の夫によく見られる傾向だそうです。要は自律神経をコントロールできて、心をできる限り平静に保てる健康な体にしておくことが必要なのです。
つまり良質な蛋白質、ビタミンやミネラル、そして酵素をしっかりとることで、健康な体と精神をつくること。そして同時に楽しく食事することも軽んじてはいけません。楽しい食事をしている夫婦には、深刻な喧嘩はごくまれです。
◆精白度低い穀物食が効果的
では夫源病に効果のありそうな食物は何でしょうか。まず主食では、胚芽米、麦ご飯、胚芽パンなど精白度の低い穀物食が続けられれば何よりでしょう。
副食は豆類、葉物野菜、根菜類、海藻、魚介類をできるだけ素材から調理して十分にとる。味噌、醤油、塩、酢(本物の醸造酢)も大事です。デザートには国産果物、ヨーグルトなど。
逆に控えるべきは白砂糖および清涼飲料、スナック菓子などです。アルコールは依存症にならない程度に適量を楽しみましょう。
個別にはゴマ、レンコン、人参、タマネギ、山芋などがお勧めです。特にタマネギを刻みそのままポン酢で食べるとイライラを抑えるのに役立ちます。カルシウムの不足も精神を不安定にしますから海藻や小魚をできるだけ食べましょう。
夫源病の当事者は副交感神経が十分機能せずゆったりした生活から遠くなっているように思えますが、つまりは体温が低いのが普通です。根菜類(人参、ゴボウ、ねぎ類など)やショウガなどで体温が上がって脳や指先への血流が高められれば、夫源病に効果的でしょう。
さて食事もさることながら、やはり何より互いの言動です。連れを尊重し、感謝の気持ちを忘れないこと。それでも夫のおかげでイライラが募るばかりという方はやはり前掲書を読むしかないでしょう。
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