流通:食は医力
【シリーズ・食は医力】第61回 虫歯より怖い歯周病2014年5月20日
・よくかんで脳力向上
・歯槽膿漏は国民病
・血液をサラサラに
・幸せな老後のために
歯は大切な器官ですが、昔からそれほど大事と思われていなかった節があります。かまなくても麺類や流動食は食べられたし、かまずに飲み込んでも胃ががんばってくれたから。それに入れ歯でも、かむという機能は一応、果たせてきたこともあります。
歯でも義歯でも、よくかむことはとても大事です。かめばかむほど消化吸収が良くなりますが、それ以上にかむことで顎の筋肉が働き脳の血流を増して脳の働きを活発化するからです(だからかまずに飲み込むことの多い最近の若い人たちの脳力の行方が心配なわけで・・)。
◆よくかんで脳力向上
ある調査では、歯が少なくなると、それに比例してかむ回数が少なくなっているそうです。ということは自分の歯が少ない人は脳の血流が少ないということになりかねない・・。
そこで厚労省は歯科医師会と「8020運動」というのを続けています。80歳になっても自分の歯を20本以上というキャンペーンです。
永久歯が多いと、[1]おいしく食べられる、[2]健康が保てる、[3]ボケが防げる、[4]医療費が少なくてすむ、など良いことずくめなのです。総入れ歯の良いところは夜中に歯痛の心配がないことくらいでしょうかね。
◆歯槽膿漏は国民病
冗談はともかく、歯が抜けるというとすぐ虫歯を連想します。しかし実際は虫歯で抜けるのは少なくて、歯周病が原因なのが圧倒的なことをご存じですか。
私たちは子供の頃から「虫歯予防」ということが刷り込まれているので、「日に3回、食後3分以内に3分間」という333歯磨きを励行している人も私の周りには結構います。
でも昼間、唾液が出ている間はミュータンス(細菌)によって歯のエナメル質が侵食される度合いはそれほど多くはないようです。だから私は夜しか磨きません(幸いそれでも虫歯はゼロです)。
甘いものが大好きな人、カルシウムやリンが不足している人、幼児とか、虫歯の心配ももちろん必要ですが、中高年には歯周病の心配のほうが重要です。
歯周病というのは主に歯槽膿漏で、歯茎の病気です。40代以上の日本人の8割が程度の差はあれ歯槽膿漏なのだとか。まさに国民病と言ってよいでしょう。
◆血液をサラサラに
外部的にいちばん効果があるのは歯茎のマッサージです。歯槽膿漏専用の歯磨もあるし、指に塩をつけてマッサージするのも効果があります。塩は陽性なので歯茎を引き締める働きをするのです。
とはいえ歯槽膿漏にはやはり体の中から対応しないといけません。最優先課題は血液をサラサラにすることです。副食では海藻、緑黄色野菜、根菜類、大豆製品、レモン、小魚などがお勧めです。白砂糖や菓子は控えめにすること。わが家は、甘味は黒砂糖か三温糖です。
歯周病の怖いところは、気がつかないうちにじわじわ進行する点でしょう。健全な歯茎はピンク色をしていて、押すと張りがあります。
逆に、[1]表面が黒ずんでくる、[2]歯磨きやリンゴなどで出血する、[3]口臭がひどくなる、[4]朝、ネバネバする、[5]押すとぶよっという感じがする、などは危険な前兆です。
ですから特段の心配がなくとも、年に一回は歯医者で歯石、歯垢をとってもらいかたがた、歯や歯茎の状態をチェックしてもらうようにしましょう。
◆幸せな老後のために
歯周病には[1]よくかむことで歯茎の血流が良くなって歯槽膿漏が防げる、[2]歯槽膿漏が始まるとかむことが難しくなってますます悪化する、というかむことをめぐる因果関係(好循環と悪循環)があることを、ぜひ理解していただきたいと思います。
歯が大事、ということは誰でも考えますが、それ以上に歯茎も大事、ということが今回、私がいちばん言いたいことです。自分自身の歯でよくかめる幸せな老後をめざして、今から歯茎を大事になさってください。
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