食品流通 シリーズ詳細

シリーズ:食は医力

【浅野純次 / 石橋湛山記念財団理事】

2015.05.15 
【シリーズ・食は医力】第73回 量と質からカロリー考える一覧へ

 もう峠は過ぎたようですが、本屋さんには依然として『体脂肪計タニタの社員食堂』が目立つところに置かれています。タニタは体重計や歩数計のメーカーですが、「体脂肪計」と押し出したところが出版社の頭の働かせどころでしょう。

 一部の体重計には体脂肪計がついていて、わが家にもありますが、最近は少々ごぶさたです。でも世間では体脂肪が気になる男女が少なくないようで、だからこの本も続編を合わせて400万部も売れたのでしょう。
 健康機器を扱う会社としては社員の健康管理に気を使うのは当然だし、健康意識の高い社員が多いだろうことは想像がつきます。ということで、この社員食堂から学ぶことは多々あるだろうということになります。
 東京板橋の本社食堂で出される日替わりランチ(ちなみに570円だとか)のキモはある意味で単純です。要するに(1)カロリーを抑えて、(2)塩分控えめ、(3)油も少なく、というのがポイントです。
 とはいえそんなに難しい話ではありません。「タニタ食堂」ではどう工夫しているのでしょうか。


◆満腹感を自分で演出

 そもそもカロリー取りすぎが健康の敵であることは多言を要しません。成人の一日必要量は男子で2000〜2600キロカロリー、女子は1700〜2000キロカロリーとされています(農作業の時間が長い人はもう少し多い)。
 ところが外食のランチだけですぐ1000キロカロリーになります。ということは夜、お酒でも飲み、お腹いっぱい食べれば、あっという間に3000キロカロリーを軽々超えて肥満につながってしまうわけです。
 でもカロリーを減らす策は案外、簡単なのですね。タニタ食堂が第一にやっていることは、何より油を減らして野菜をたっぷり提供することだそうです。
 確かに油はカロリーの塊と言っていいでしょう。植物油大さじ1杯(10グラム)だけですぐ100キロカロリーになってしまう。
 だから肉のフライなどはできるだけ赤身かささみに、ロースが食べたければしゃぶしゃぶでゴマだれやポン酢にする。
 ひき肉やこま切れなら油なしで炒めるのがお勧めです。ネギ、蓮根、人参、トマトなどと一緒に炒めると、カロリーの割にたくさん食べた感じがして食欲を満足させます。
 カロリーは食の量と質から考えましょう。質というのはカロリーの少ないものを多めに食べること。たとえば海藻、キノコ、葉もの野菜、根菜類(大根・ニンジン・ゴボウ・レンコン、コンニャクなど)をたくさん食べて満腹感を自分で演出する。これは非常に効果的です。


◆ダシを生かし塩分減らす

 量では「やけ食い」などと言われるような暴食をしないこと。一人でがつがつ食べるのは最悪です。逆にみんなで話しながら楽しく食べていると、いつのまにか食事が終わり食べすぎを防げます。
 そしてゆっくりかむこと。かむほどに満腹感が増します。かまずに飲み込んでいると頭は「まだあまり食べていない」と判断して、食べている割に満腹感が出てこないのです。
 一方、塩分を減らすには、甘辛い食事を薄味に変えることが大事です。上品な薄味の味付けに慣れていくようにしましょう(甘辛いから下品だとは言いませんけれど)。
 お酢や減塩味噌、それにコショウなどの香辛料をうまく使うことも大事です。コンブ、カツオ節、干ししいたけなどダシを生かせば塩は自然に減ります。
 というわけでタニタ食堂の献立そのものをマネしなくとも、その考え方を生かして食事を改善していけそうな気がしてきた、のでは?
 台所に計量器を置いて折にふれてカロリーや脂質、糖質を意識することも効果がありそうです。
 それと運動も大事で、歩数計で日々、チェックしましょう。私はケータイ搭載の歩数計で「今日は1万歩も歩いた」などとやっています。食事のカロリー制限以上に大事なことかもしれませんよ。

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