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流通:食は医力

【シリーズ・食は医力】第77回 日本の誇り「豆の食文化」2015年10月20日

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【浅野純次 / 石橋湛山湛山記念財団理事】

 NHKの長寿番組「クール・ジャパン」をご存じでしょうか。
 この番組は日本のさまざまな文化について外国人8人が現場を訪ね、スタジオで鴻上尚史さんらと語り合う内容で、和食、漬物、てんぷら、喫茶店など日本の食文化も盛んに取り上げていて大抵は楽しめます。
 先日は日本の豆食がテーマで、特に大豆は納豆、豆腐、きなこ、ミソ、醤油など多様な食品を支えていること、外国人の苦手なネバネバをなくした納豆が開発されて好評であること、などを紹介してとても面白く出来ていました。

◆大豆を食べる国は?

 意外だったのは、世界では大豆を食べる国がほとんどないということ。インドの人がナンに大豆の粉を小麦粉と併用すると言っていたくらいでした。
 大豆は多くの国にとって大豆油の原料か家畜の餌でしかないのですね。日本はおからでさえ飼料のほかに人間様も食べています。栄養価の優れた大豆をなぜ外国では活用しないのか不思議な気がします。


◆頭を活性化する大豆食品

 それはともかくわが家の食卓は大豆関連の食品だらけです。朝はモヤシや豆腐の味噌汁と納豆が常食で、ヨーグルトには黒豆の煮物が何個か入りきなこがかかっています(なおモヤシについていうと、昨今のは中国産の緑豆から発芽させたものが主で大豆は少ないです)。
 そして夜は枝豆に、またも豆腐やおからや納豆という具合で、大豆協会から表彰してもらってもいいくらいかと。枝豆は(冬は冷凍ものになりますが)一年中、食卓から消えることはありません(つまり、ビールも毎晩、ということに...)。
 大豆を「畑の肉」と孫文が呼んだことは以前、ご紹介したかと思いますが、まさに肉に劣らぬ良質のアミノ酸を大豆はたっぷりと含んでいます。肉の食べすぎは問題がありますが、大豆は大丈夫です。そもそも大豆の食べすぎというのはあまり聞いたことがありません。
 大豆にはリノール酸主体の不飽和脂肪酸が豊富にあって、動脈硬化を防いでくれます。さらにレシチンも多いのが魅力で、こちらはコリンというビタミンの一種を作り出し、これがアセチルコリンとなって脳神経を興奮させ、頭を活性化させるというすごい働きをします。
 だから大豆製品をたくさん食べるほど頭の働きが良くなるはずで、ということは、枝豆、納豆、豆腐、油揚げ、おから大好きな私としては大いに励まされるところです。ただし、「そんなに食べているのにその程度か」と言われないかという心配は常にありますけれども。


◆八面六臂の活躍・小豆

 豆好きな日本人としては、アズキも忘れるわけにはいきません。お汁粉も和菓子もアンパンもアズキあっての話ですが、昔からアズキは赤い色が魔除けになるといって大事にされました。
 江戸時代、ハレの日の赤飯はもとより、多くの家で毎月1日と15日にはアズキご飯を食べることにしていたといいます。これで疲れを取り、病気を遠ざけようというのです。
 確かにアズキには薬効が多々あり、疲労回復、病後や産後の回復に重宝されたし、脚気症状といえばアズキが相場でした(アズキはビタミンB1やミネラルが豊富なのです)。
 ほかにも利尿や便通にいいとか腎臓の働きを強めるとか、八面六臂の活躍をしてくれるアズキを、まんじゅうばかりでなく、赤飯などでもっとひんぱんに食卓に登場させてはどうでしょうか。
 インゲン、ソラマメ、落花生、ナッツなどまだまだ豆の種類は豊富ですが、紙数も尽きたので続きはまたいずれということで。
 最後に「クール・ジャパン」ですが、日曜の夕方6時から45分間、NHKのBS1でやっています。食の話題も多く、結構、面白いですよ。ちょうど忙しい時間帯なのでわが家は録画して楽しんでいます。英語も混じるので人によってはほんの少し勉強した気分になれるかも。もちろん字幕が入るので心配はご無用です。

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