オリーブカタカイガラムシを県内初確認 広島県2021年8月20日
広島県西部農業技術指導所は8月17日、オリーブカタカイガラムシを県内で初めて確認したことを受け、特殊報第2号を発令した。
オリーブの枝に寄生するオリーブカタカイガラムシ雌成熟成虫(写真提供:広島県西部農業技術指導所)
6月に県南部のオリーブ栽培ほ場(露地)で、オリーブ苗木(品種:ペンドリーノ)に黒い球状の塊と貝殻様の付着物を発見した。広島県西部農業技術指導所で、黒い球状の塊を割って観察したところ、中に多数の卵と幼虫を確認したため、農水省神戸植物防疫所に同定を依頼した結果、オリーブカタカイガラムシと判明した。
国内では、令和2年に静岡県のオリーブ、令和3年に神奈川県のオリーブで特殊報が確認されている。
雌成虫は体長3~4mmの楕円形をしている。未成熟成虫のうちは淡褐色の扁平な形で、枝などにへばりつき、背中部分に「工」字形の隆起がある。成熟成虫になると、硬化して「工」字形の隆起は不明瞭となり、暗褐~紫褐色の半球状の塊となる。内部には卵あるいは幼虫が多数生息している。単為生殖で増殖し、年に数世代を繰り返す。
幼虫と雌成虫が枝、葉に寄生し、多発すると排泄物で葉や果実が汚れ落葉したり、苗木や樹勢の弱い樹は枯死することもある。
寄生植物はオリーブ、カンキツ類、マンゴー、ヒメツバキなど、様々な樹木類に寄生する。この虫はヨーロッパ、米国・カリフォルニア州に広く分布しており、トビコバチ類を利用した生物防除の研究が行われている。トビコバチ類は日本では、小笠原諸島、南西諸島に分布している。
防除対策では、この種に寄生された枝や葉は発見次第除去し、ほ場外で処分する。
この病のオリーブでの登録農薬は、今年7月にモベントフロアブルの「オリーブ」及び「オリーブ(葉)」(適用病害虫名:カイガラムシ類)が追加された。登録内容を遵守し、適切な散布を行うよう呼びかけている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(140)-改正食料・農業・農村基本法(26)-2025年5月3日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(57)【防除学習帖】第296回2025年5月3日
-
農薬の正しい使い方(30)【今さら聞けない営農情報】第296回2025年5月3日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「盗人に追い銭」「鴨葱」外交の生贄にしてはならぬ農産物2025年5月2日
-
【2025国際協同組合年】情報を共有 協同の力で国際協力 連続シンポスタート2025年5月2日
-
イネカメムシが越冬 埼玉、群馬、栃木で確認 被害多発の恐れ2025年5月2日
-
九州和牛をシンガポール人に人気のお土産に 福岡空港で検疫代行サービスを開始 福岡ソノリク2025年5月2日
-
就労継続支援B型事業所を開設し農福連携に挑戦 有機農家とも業務提携 ハピネス2025年5月2日
-
宮崎ガス「カーボン・オフセット都市ガス」 を県庁などに供給開始 農林中金が媒介2025年5月2日
-
5月29日から「丸の内 日本ワインWeeks2025」開催 "日本ワイン"を学び、楽しむ3週間 三菱地所2025年5月2日
-
協同心の泉 大切に 創立記念式典 家の光協会2025年5月2日
-
【スマート農業の風】(14)スマート農業のハードルを下げる2025年5月2日
-
(433)「エルダースピーク」実体験【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月2日
-
約1cm程度の害虫を強力捕獲「吊るしてGET虫ミニ強力タイプ」新発売 平城商事2025年5月2日
-
農中情報システム 自社の導入・活用のノウハウを活かし「Box」通じたDX支援開始2025年5月2日
-
洗車を楽しく「CRUZARD」洗車仕様ホースリールとノズルを発売 コメリ2025年5月2日
-
戦後80年の国際協同組合年 世代超え「戦争と平和」考える パルシステム神奈川2025年5月2日
-
生協の「地域見守り協定」締結数 全市区町村数の75%超の1308市区町村に到達2025年5月2日
-
ムコ多糖症ニホンザルの臨床徴候改善に成功 組換えカイコと糖鎖改変技術による新型酵素2025年5月2日
-
エフピコ×Aコープ「エコトレー」など積極使用で「ストアtoストア」協働を拡大2025年5月2日