サツマイモ基腐病の防除徹底を 鹿児島県が防除暦を全農家に配布へ2022年2月25日
鹿児島県は、被害が深刻化しているサツマイモ基腐病の防除に向けて、初めて基腐病対策に特化した防除暦を作成し、今月からホームページで公開している。来月にはパンフレットにして県内の全農家に配布する。春の植え付けを前に、まず苗やほ場に菌を持ち込ませないための防除対策を徹底したいとし、担当課は「防除暦を通してまず健全な苗を健全なほ場に植えることを強く呼びかけていきたい」と話している。
サツマイモ基腐病対策の防除暦の一部
サツマイモ基腐病の原因はカビ(糸状菌)で、感染した苗を畑に植え付けると畑で増加してしまうとともに、収穫後のクズいもやツルなどで越冬して次作の発生源になる特徴がある。鹿児島県は、サツマイモ基腐病の被害が広がる中、これまでも防除対策マニュアルなどを作って農家に対策を呼びかけてきたが、末端の農家まで周知されていないとして、今月、サツマイモ基腐病に特化した防除暦と対策のポイントをまとめた資料を作成し、地元紙の広告やホームページを通して対策徹底の呼びかけを始めた。
防除暦では、特に被害を抑えるために必要な対策として、原因となる菌を「持ち込まない(健全苗の確保)」「増やさない(発病株の除去、適期防除)」、「残さない(残さの分解促進)」の3つを徹底するよう強調している。特にこれから採苗の時期を迎えるため、育苗については植付苗の消毒に注意してほしいとして、採苗時は地際から5センチ以上離れた位置で採苗し、使用するハサミも消毒すること、さらに苗を薬液に30分つけて消毒し、消毒液も使用日ごとに毎回調整するといった作業の流れを図で丁寧に示している。秋の種いもの蒸熱処理についても消毒作業の手順をていねいに説明している。
また、ほ場についても植え付け時の排水性の改善をはじめ、品種間の基腐病抵抗性の差を考慮した品種選定や薬剤防除の散布例、収穫時の残さ処理などの注意点を時系列に詳しく説明している。
同県内では、サツマイモの生産農家が約1万戸いるとされ、同県は防除暦をパンフレットにして来月から全農家に配布することにしている。同県農産園芸課は「まず健全な苗を健全なほ場に植えることが重要であり、出先機関などを通して防除対策の徹底を農家に呼びかけていきたい」と話している。
農水省によると、鹿児島県内の令和3年産の収穫量は19万600tで、前年より約2万4000t減り、初めて20万tを下回った。サツマイモ基腐病の影響で10a当たりの平均収量は前年対比で78%まで落ち込んでおり、全国一の産地として防除対策は急務となっている。
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