トマトキバガの成虫 県内で確認 福岡県2022年3月31日
福岡県病害虫防除所は、トマトキバガ(チョウ目キバガ科)の発生を県内で確認。これを受け、3月29日に病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
トマトキバガ成虫 (写真提供:熊本県病害虫防除所)
同防除所は3月、福岡県内のトマトほ場周辺に設置したトマトキバガの侵入警戒トラップに誘殺されたガの成虫の同定を農林水産省門司植物防疫所に依頼。その結果、トマトキバガであることが確認された。現在、県内の農作物における本種幼虫の発生及び被害は認められていない。
同種は南アメリカ原産だが、2006年にスペインへの侵入が確認され、ヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、西アジア、アラビア半島、インド、ネパール、東南アジアに分布を拡大。2021年5月までに、台湾、中国、中央アジア諸国などでの発生が新たに確認されている。また、国内では、同10月に熊本県で初めて確認され、同12月には宮崎県で、今年3月には鹿児島県と大分県で確認されている。
成虫は翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長5ミリ弱、開張約10ミリ)。前翅は灰褐色で黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約8ミリに達する。体色は淡緑色~淡赤白色で、前胸の背面後縁に狭い黒色横帯を有する。
トマトキバガ幼虫(写真提供:熊本県病害虫防除所)
1年に複数回世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、南米では年に 10~12世代発生することが報告されている。卵~成虫になるまでの期間は 24~38 日程で、気温が低い時期はさらに期間が延びる。また、発育下限温度は8℃とされている。
成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。雌は一生のうちに平均で約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1~4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。
トマトの被害葉(写真提供:熊本県病害虫防除所)
トマトの被害は、葉では内部に幼虫が潜り込んで食害し、葉肉内に孔道が形成される。食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度の穿孔痕が生じるとともに、食害部分の腐敗が生じ、果実品質が著しく低下する。
また、トマト、ナス、ピーマン、タバコ、バレイショなどのナス科植物が主要な寄主植物だが、マメ科のインゲンマメも寄主植物として確認されている。海外では、ピレスロイド系やジアミド系などの殺虫剤に対する抵抗性を獲得した個体群の発生が報告されている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇現在、トマトキバガに対する登録農薬はないが、トマト、ミニトマト、ピーマン及びナスでは植物防疫法第29条1項に基づく措置として、農薬による防除を行う。なお、薬剤防除にあたっては、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。
〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
〇除去した被害株や被害果などを野外に放置すると、それが発生源となり、周囲に拡散する恐れがあるため、除去した被害株などは、速やかに土中に深く埋設するか、ビニル
袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させ、適切に処分する。
重要な記事
最新の記事
-
【特別座談会】米は食の源 基本は国消国産(2)2025年11月4日 -
【特別座談会】人を育てる食と農の力に自信を持とう(3)2025年11月4日 -
なぜ先物市場の価格は市中価格とリンクしないのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年11月4日 -
鳥インフルエンザ 国内2例目を北海道で確認2025年11月4日 -
鳥インフルエンザ 新潟で国内3例目2025年11月4日 -
規格外野菜で農家レストラン 高崎市の柴崎農園が最高賞 食品産業もったない大賞2025年11月4日 -
GREEN×EXPO2027 日本政府出展起工式を開催2025年11月4日 -
第1回「食と農をつなぐアワード」受賞者決定 農水省2025年11月4日 -
「ジャンボタニシ」の食害被害を防ぐ新技術開発 ドローンで被害を事前予測・スポット散布 農研機構2025年11月4日 -
11月の野菜生育状況と価格見通し ばれいしょ、たまねぎなど平年を上回る見込み 農水省2025年11月4日 -
11月11日は長野県きのこの日「秋の味覚。信州きのこフェア」4日から開催 JA全農2025年11月4日 -
「鹿児島黒牛」使用メニュー「牛かつふたば亭」で提供 JA全農2025年11月4日 -
自動車共済の仕組改訂など2026年1月実施 「日常生活事故弁護士費用保障特約」新設 JA共済連2025年11月4日 -
交通安全イベントで「見えチェック」体験ブース 反射材着用を呼びかけ JA共済連2025年11月4日 -
長野県「僕らはおいしい応援団」りんご「サンふじ」など送料負担なし JAタウン2025年11月4日 -
奈良県「JAならけん」約10点を送料負担なしで販売中 JAタウン2025年11月4日 -
藤原紀香「ゆるふわちゃんねる」淡路島で「灘の赤菊」生産者とゆる飲み JAタウン2025年11月4日 -
「ココ・カラ。和歌山マルシェ」約80点を送料負担なしで販売中 JAタウン2025年11月4日 -
第30回さなえ図画コン 最優秀賞は「田うえで出会えるお友だち」 井関農機2025年11月4日 -
秋篠宮皇嗣殿下がGREEN×EXPO 2027名誉総裁に就任 2027年国際園芸博覧会協会2025年11月4日


































