雑草の生育を抑制する「開張型」イネを開発 野生イネの遺伝子を活用 農研機構2022年4月7日
農研機構は、野生イネの遺伝子を活用し、米の品質や収量は保持しながら、雑草の生育を抑制する「開張型」のイネを開発。開張型イネは、従来の品種に比べて効率的に太陽光を遮ることで水稲群落下の雑草の生育を元品種の半分以下に抑制する。同成果は、水稲栽培における雑草防除の負担を軽減し、生産者にも環境にもやさしい新たな水稲品種のための道を拓く。
農研機構は、野生イネの遺伝子を交配により導入することで、雑草の生育を抑制する「開張型」のイネを開発した。開張型イネは扇型に拡がった葉を持ち(写真)、従来の品種に比べて効率的に太陽光を遮ることにより、水稲群落下の雑草の生育を半分以下に抑制する。また、太陽光をより高い効率で受容できるため、初期生育が促進される。
さらに、開張していた葉は生育後半には直立するため、従来品種と同様に収穫できる。今回用いた野生イネ遺伝子は、収量や穀粒品質、食味にはほとんど影響を与えないことから、開張型イネを育種素材として活用し、日本の各地で栽培されている様々な品種と交配することで、雑草抑制力に優れる水稲の実用品種の育成が期待される。
開張型イネは、水稲栽培において負担の大きい雑草防除、具体的には除草剤散布や手取り除草作業を軽減させ、生産のコストを減らせると期待される。また、除草剤の散布量の低減は、低環境負荷の食料生産システムの構築につながり、みどりの食料システム戦略やSDGsの達成にも貢献すると期待される。
現在栽培されているイネは、野生イネから「栽培化」の過程を経て確立されたもの。栽培化は、それが行われたおよそ1万年前の人々が、その時の農業形態に適した個体を選抜することで達成された。一方で、この選抜の過程で、野生イネが本来持っていた多様で多彩な遺伝子が失われた。
開張型の草型を与える遺伝子は、こうした栽培化で失われた遺伝子の中から、現在の農業においても有用であるものを探索する過程で見出された。同研究は、栽培イネに引き継がれなかった有用な遺伝子が、野生イネの遺伝資源の中に眠っていることも示している。
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